純粋で端整なマスクの金ジェウォンは、ぼさぼさの格好でインタビューに現われた。グレーに染めた髪は“さんばら髪”といえるほど勝手にはねていた。適当に引っ掛けたシャツの上の2つのボタンは外れたままで、胸の中まで見えていた。
「イメージチェンジしなければならないんですよ。“タフ”に見せようと刺青までしました」真っ白な歯を見せて、はにかんだように微笑む顔から、やっとドラマ『ロマンス』のチェ・グァンウのイメージが浮かんだ。
金ジェウォンは8月3日から放送予定のSBS週末ドラマ『ライバル』(脚本:ジン・スワン/演出:李チャンハン)で、組織暴力団の行動隊員チャン・ウヒョクを演じる。ゴルフ選手の女性主人公タインに影のように付き添っては守る“守護天使”だ。学生時代、ボクシング選手として名を知らせるが、試合で相手選手を死なせて以来、闇の道へと足を踏み入れてしまう。荒く冷たそうに見えるが、内面は極めて暖かい人物だ。
「これまで演じた役は全て“貴公子”スタイルだったので、まったく違った印象を作り出さなければならないこのドラマは、正直負担でした。昨年末から余りにも忙しかったので、休みたい気持ちもあったし。でも、私のことを思ってくださる李チャンハン監督の作品なので、やらないわけにはいかなかったんです」
撮影はどのくらい進んでいるのかと聞くと、「あちこち、痛くないところがない」と、とんちんかんな答えが返ってきた。演じる役が“組織暴力団”であるため、激闘シーンが多い。負傷も絶えないという。学生時代から常にテコンドー、武術、特攻武術など格闘技を習っていたのが大いに役立っているという。
金ジェウォンは昨年末以降、突然スターになった。その人気がいつまで続くかは分からないが、今の勢いから見れば、容易に消えそうにない。「正直な話、困惑しています。自分の能力というよりは、良い作品と監督に出会って人気を得たのだと思うから。忙しすぎて人と会う時間がないことは悲しいですね。1週間に1~2回は必ず会っていた友たちも、最近は全く会えません」
金ジェウォンの両親は2人とも教師だ。母は初めから息子の演技活動を支援してくれたが、父は強く反対したという。しかし、今は父も「演技は目でするものだ」、「もっと自然に動かないと」と、さり気なく指導(?)してくれるほど、息子を信頼してくれるようになった。
「まだ自分が全くの新人だということは確実です。作品をやる度に、学ばなければならないことも多すぎる。自分の全ての能力をこの作品に注ぎ込むつもりです。映画? 演技とは何か、それが分かった時は挑戦してみたい。今はまだその時ではないと思います」。