ミュージカル『オペラ座の怪人』の主人公 ユン・ヨンソクさん

 「ハハハ…!」

 良く鍛えられた発声のためだろうか。『怪人』の笑い声は隣の人をびっくりさせるほどボリュームが大きかった。今月30日、7カ月間の長期公演の幕を閉じる韓国・ブロードウェー合作ミュージカル『オペラ座の怪人』でタイトルロールを務めているユン・ヨンソク(31)さんは、話を終えるたびに大きな声で豪快に笑った。

 「大学の時、オペラ『フィガロの結婚』でフィガロを演じ、卒業後、初の舞台の『セビリアの理髪師』でもフィガロを演じました。だから、私は初めからフィガロしか知らなかったんです。ハハハ!」

 映画『シベリアの理髪師』でフィガロに扮し楽しく歌っていた、澄んだ瞳の士官候補生アンドレイ・トルストイ(オレグ・メンシコフ)を思い出させる顔。舞台では仮面に隠れ、顔がよく見えなかったが、実はメロドラマの主人公を演じても似合いそうな美男子だ。

 秋溪(チュゲ)芸術大学の声楽学科を卒業し、2000年3月、ソウル市立合唱団に入団、『セビリアの理髪師』など、小劇場のオペラに出演していたユン・ヨンソクさんに『怪人』という大役は、舞台人生の新たなページを切り開いてくれた。「怪人を演じる俳優は怪人のように現れる」というジンクス通り、ユン・ヨンソクさんは3カ月間繰り返されたオーディションの最後の段階で抜擢された。「他の声楽家とは違って体が柔らかい」という点などで良い評価を得た。その後、8回の公演のうち、5~6回舞台に上がり、スターの座に上り詰めた。今年の韓国ミュージカル大賞では新人男優賞を受賞した。

 「ファンクラブ(yoon.thephan.co.kr)もできて、テレビ出演もしました。妻(李ウンギョン/30/作曲家)の欲しがっていたシンセサイザーも買ってあげたし…。仮面をかぶって出演していたため、顔は知られていないんです。ただ、体重は13キロも落ちました」

 怪人の扮装に使われるカツラと厚い接着剤のため、皮膚にトラブルが生じるなど、今回の公演の“副作用”もある。

 声楽家たちのほとんどは大人しいが、ユン・ヨンソクは茶目っ気のある声楽家だ。ワールドカップ(W杯)で韓国代表チームが勝った日は、『オペラ座の怪人』のカーテンコールの際、ヒディンク監督のゴールセレモニーや安貞桓(アン・ジョンファン/ペルージャ)選手の指輪セレモニーを真似て「みなさん、韓国が勝ったそうです」と叫び、2倍も大きな拍手をもらった。

 彼は「ミュージカルとオペラ、2つともやりたいと言ったら欲張りだと言われるでしょうね」と言いながら大きな声で笑った。「でも、両方とも上手くなりたいんです。ミュージカルは観客の熱い反応が好きだし、オペラは音楽だけで感情を伝えるということが魅力的です。でも、当分は休みたいです。これまで、妻との時間が余りにも少なかったので、一緒に旅行にでも行くつもりです」

 教会の聖歌隊で出会った妻は、彼にとってマネージャーのような存在だ。「私の公演のモニターやコーディネーターの役もやってくれるんです。音楽の指導から扮装、服を着ることまで助けてくれます。『セビリアの理髪師』の時、妻はほとんど毎日客席に座っていました。招待券のない『オペラ座の怪人』は料金を払ってチケットを買わなければならなかったため、20回くらいしか観れませんでしたが」

 ユン・ヨンソクさんは「妻はこうした支援のため、自分の仕事も一時中断している。私は最近稀に見る幸せな夫であるということを認める」と話した。

金ギチョル記者 , 李ギュヒョン記者
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