育児サイト「ベネットアイ」運営者のオ・ジュヒョプさん

 本のカバーデザインを手がけるフリーランサーのオ・ジュヒョプ(41)さんが1カ月前にオープンした育児サイト「ベネットアイ(www.beneti.com)」は一般的なインターネットサイトとは一味違う。

 会員数が2万4000人になるにも関わらず、バナー広告が1つもない。良くありがちな育児用品のショッピングモールコーナーもない。会員加入も無料。加入の際の個人情報も殆ど要求しない。代わりに約款の最後に「利用者の義務」という見慣れない条目がある。「利用者は子供と一緒に過ごす時間をさらに多く持たなければならない義務があります」

 「初めの頃はホームページの概念で始めましたが、母親たちから大好評を得て…。私も育児サイトをたくさんチェックしてみましたが、どれもショッピングモールがあったり、有料会員制だったりしたので残念でした。必ず必要な育児情報だけを載せて、誰もが見られるようにしたかったんです。必要のない広告を載せるのが嫌で、掲示板も作りませんでした」

 「ベネットアイ」を利用したことのある人々は、この素朴な無料サイトに知能開発用のハイレベルなコンテンツがとても多い点に驚く。動物の模様合わせモザイクゲーム、クリックをすると音が出る鍵盤、映像胎教、声優3人が参加した口演童話…、すべて子供を愛するオさんが片手間にアイディアを出して直接スケッチしたアイテムの数々だ。娘を育てながら書いた育児日記の教訓もサイトあちこちに溶け込んでいる。

 しかし、この“小さな夢”のためにオさんは二度ばかり引越しをした。プログラム購入費など、サイトに投じる費用は月平均で1500万~1700万ウォン。一方、{のカバーデザインで得る収入は不規則で、サイト準備5カ月目に京畿(キョンギ)道・一山(イルサン)の家を売って、二度も賃貸住宅を転々とした。宝物のような娘のミジン(11)ちゃんとウンジン(7)ちゃんの二人は、この引越しで自分の部屋がなくなり、一緒に部屋を使うようになった。

 オさんがこれほどまで赤字の出るサイトを続けられるのは、「お金は後にでも稼げばいいから、若い時にいいことをしなさい」と応援してくれる妻のチョン・ジョンウン(34)さんの力が大きい。「あと2年程すれば、これ以上の出費はなくなるでしょう。その頃には私の本業により充実するつもりです」。

 初めの頃は、何か裏があるはずだと疑っていた会員たちも、近頃では「何か手伝うことはないか」と言ってくる。「ただ私が子育ての際に、知らないがために、してやれなかった事を、子育てをする若い親たちに伝えられたらと思います」。

李自妍(イ・ジャヨン)記者
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