「子供たちと私のために43の歳で留学します」

 今年で43歳。ウンギ(14)、ウンビ(6)、ウンビョル(2)、3人の子供の母親である女性コメディアン 李ソンミさんは8月にはカナダへと旅立つ。現在、受け持っている番組からも全て降りる。3年を予定しているが、帰ってきて何をするかは、まだ具体的に決めていない。

「今でなければチャンスがなさそうで」何の計画もなしに留学を決めた。自分や子供たちに新たなチャンスを与え、母親としての役割を上手く果しそうとするのに、43という年齢は決して“遅くない”歳だと考えるほど、彼女は若く、また切羽詰っている。

 「3年前から計画していたことなんです。向こう見ずに働いていたある日、果して私はどのような母親として記憶されるだろう、と懐疑を感じました。私も英語の勉強をしたかったし。だから、一生懸命に働いて経費を稼いだんです」

 テレビに出て人を笑わせる技は神業に達しているが、彼女は中学生から2歳までの子供をもつ“几帳面な”母親だ。自ら“無心な母”と告白するが、李ソンミさんは誰よりも優しく、かつ厳しい。カナダ行きを決心したのも、自分のためでもあったが、何よりも今年春、中学に入学した長男 ウンギがきっかけとなった。

 万能スポーツマンで遊んでばかりいたウンギが6年生になって「これからは勉強する」と誓った。しかし、中学に進学してからは顔に陰りができた。先輩たちはトイレでたばこを吸い、大学入試への負担はリアルに感じられるようになった。優等生の女子生徒が、成績が落ちると親に殴られるという話しも聞こえてきた。「ちょうどその時、知人から機会があると連絡が来たんで、ウンギを先に行かせました。運動して腕を折るくらいに、上手くやっているらしいですよ」

 それでも、あえて韓国を離れなければならない理由があっただろうか。まして、“働く母”が子供たちの世話をするために自分の仕事も中断するほど、韓国の教育に問題があるのだろうか。彼女は慎重な口調で「子供たちが、何でも上手くできるわけないじゃないですか」と話した。

 「子供たちが勉強でストレスを受けるのが嫌なんですよ。国語、英語、数学ができる子が、ピアノにスポーツまで万能になるため、塾に通います。私たち親や教師は、みんな100点満点ですか?私たちが幼かったごろのように、土も食べて、滑り台から落っこちって頭も割って、そんな風にして人間らしく暮らすことはできないんでしょうか?」子供とのつながりが並外れだっただけに、「今回、一度チャンスを与えてみよう」と父親と意見をともにした。

 スポーツは何でもできるウンギは水泳やテコンドー、剣道の実力のお陰で、カナダの学校で人気爆発だそうだ。自慢する表情から笑みが漏れる。父親だけの家庭で淋しく育った彼女にとって、3人の子供はこの世の誰よりも支えになる。夫が仕事のため一緒に行けないことが残念でならないという彼女は、子供のように「必ず、立派な人になって帰ってきます」と誓った。

金ユンドク記者
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