宮崎監督「やはりアニメは子供のために作るべき」

 アニメーション映画は子供用で幼稚だという先入観を持っている人に、アニメのファンたちは宮崎駿(61)の作品を見せる。『風の谷のナウシカ』から『もののけ姫』に至るまで、彼の作品は「これでもアニメが子供用なのか」と問い掛けているようだ。しかし、その宮崎監督自身も「それでもやはり、アニメは子供のために作るべきだ」と話す。

 4日午後、日本の東京郊外の小金井市、この静かな町にある事務室「ニ馬力」。日本のアニメを代表する巨匠 宮崎駿監督がベルリン映画祭でグランプリを受賞して以来初めて、韓国記者たちとのインタビューに応じた。受賞作『千と千尋の神隠し』の6月韓国公開を控えての席だった。

 「友たちの娘で、10歳の子がいるんです。その子のことを考えていたら、日本で制作される映画やアニメの中には、その子くらいの年頃の子が観る作品がありませんでした。私自身も子供たちが共感できるアニメを作ったことがなかったし。これが、その初めての作品なんです」

 2,340万人の観客を動員し、日本史上最高の観客動員数の記録を立てた『千と千尋の神隠し』は、10歳の少女「千尋」が豚にされてしまった両親を元の姿に戻そうと、不思議な世界に迷い込むというストーリーだ。しかし、千尋が両親を助け出すためにやったことといえば、以前のアニメがそうであったように“戦う”ことではなく、“就職して働く” ことだった。


 「実は、このアニメの背景となっている“神々の温泉町”はうちの『ジブリスタジオ』(宮崎監督のアニメ制作会社)を象徴しているんですよ。『千と千尋…』は“うちのスタジオに10歳の子供が就Eしてきたらどうなるだろう?ということを想像して作ったものです」

 子供が初めて就職をして、“他人がくれるご飯”を食べて、苦労をして、怒られて、また成功もして、そうして人間的に成長していくというストーリーだという説明だ。

 「子供たちに『アニメだかそうだよ…』と言われたくなかった。『あの子はアニメだからあんなに特別な能力を持って、アニメだから誰かが現れて助けてくれて…』という話しをね。その代わりに、平凡な10歳の子供ならどうするだろうと考えました。私は子供たちにこう言いたかった。『おじさんが聞かせてあげる話は全部嘘だよ。でも、同時にまた事実なんだ』とね」。

 アニメとは頭の中で作られた“嘘”ではあるが、作品の中の人間関係は、極めて現実的に作ったということだ。

 宮崎監督は『千と千尋…』以降、また違う形のものすごい“作品”を1つ披露した。東京近郊の三鷹市に昨年10月にオープンした「ジブリ美術館」。彼の作品を素材にした小さなテーマパークであるが、カフェに置いてあるビール瓶のラベルまでも宮崎監督が直接デザインした。巨大な宮崎作品なのだ。

 宮崎監督のアニメは、日本では興行収入の記録を数回も塗り替えたが、韓国ではこれといって成功を収めていない。昨年は彼の『となりのトトロ』韓国公開に合わせて、宮崎監督自ら韓国を訪問したが、やはり興行収入は芳しくなかった。今回はどうだろうか。

 「トトロの場合、失敗して当然だと思います。ビデオでほとんどの人が観たでしょうから。私は基本的に興行はその時の“運”だと思うんです。今回の『千と千尋…』も、輸入関係者たちがつぶれないことを願うだけですよ」。宮崎監督は愉快に笑った。

東京=崔洽(チェ・フプ)記者
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