李豪宰「一緒に舞台に立ちたいと言われる俳優になりたい」

 「一度、演劇の稽古が始まると、家や劇場から遠く離れた所に行かなくなるのが癖です。道が渋滞するとか、何かに夢中になってしまって、稽古の時間に遅れてしまいそうで心配だからです」

 演劇俳優の李豪宰(イ・ホジェ/61)氏が舞台生活40周年を迎え、演劇『誰かの肩に寄りかかって』(李萬喜(イ・マンヒ)作/金ドンヒョン演出)を7日から29日まで、文芸振興院の芸術劇場・小劇場で公演する。結婚と事業に失敗した50代の男性の人生を描いたドラマだ。夫婦間や友達の間にも適当な距離があってこそ、スムーズな関係でいられること、“島”と“島”の間の海水のように、人々の間にもある程度の距離と間隔がなければならないことを悟らせてくれる内容だ。

 李氏は今年4月末、膝の関節炎の手術も稽古場のある大学路(テハンロ)のソウル大病院で受けた。「遠くに行けない」という言葉には、今まで充実した演劇の舞台を歩んできた完璧主義がうかがえる。


 「80年代の中頃に2、3年ほどテレビドラマに出演するため、演劇を休んだ事があります。テレビがとても魅力的に感じたので、ますます抜けられなくなったんですよ。ところが、何かこのままでは演劇に戻る機会を失ってしまいそうで、心配になったんです」

 他の所で夢中になっていれば、元の場所に戻ることができない…。李氏はただそんな理由で舞台を守ってきた。

 「私にとって、なぜ“演劇”が元の場所かは分かりませんが、自分は“演劇俳優”と呼ばれなければならないという使命感のようなものがあったんです。演劇俳優が映画俳優やタレントになる踏み台と思われるのも嫌でしたし…」

 彼は韓国語を正確に発音する数少ない俳優の1人だ。秘訣は「舌が痛くなるまで努力したおかげ」と言う。「私は歯の間に少し隙間あって、発音が漏れるんですよ。それで舌で歯の間の隙間を補いながら発音する練習をしたんです。だから私の舌は、ナマコの皮のようにデコボコしています」

 李氏は「私も演劇を40年間もやってきましたが、何一つ残したものがない」という言葉を繰り返した。これから“中高年向けの演劇”ブームでも巻き起こそうとでもいうのか。

 「そういう訳ではないんです。後輩たちがそうできるよう、手助けをしたいんですよ。あるテレビコマーシャルで『最高だからもっと一生懸命に守る』というのがあるじゃないですか。ところが、私は最高である時に退くことも本当に重要だと思います。

これからはこうやって私のインタビューが新聞に出るよりも、若い俳優が『李豪宰先輩と一緒に舞台に立てて嬉しい』と言う姿が新聞に載るべきだと思うんです」問い合わせ(02)765-5476

李圭鉉(イ・ギュヒョン)記者
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