1999年のノーベル文学賞受賞作家であるドイツのギュンター・グラス(75)氏が韓国訪問2日目の28日、南北分断の現場である板門店(パンムンジョム)を訪ねた。
茶色のスーツに赤いネクタイをしめたグラス氏はこの日午後12時頃板門店に到着し、中立国監督委員会の代表らと昼食を共にした後、バスに乗って南方限界線の鉄柵を越え、非武装地帯に入った。そして南北の軍人が対置している板門店の軍事停戦委員会の会議室と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「ソンジョン村」が一目で見渡せる第3哨所(歩哨の立つ所)、中立国監督委員会などを2時間あまりに渡って見学した。
その間、ずっと口からパイプを離さなかったグラス氏は、遂行軍人の説明に真剣に耳を傾け、質問をするなど、強い関心を見せた。グラス氏は「板門店の政治・軍事的な緊張と周りの牧歌的風景がまるで1編の不条理劇のように見えた」と語った。
-板門店を見学した感想は?
「こんなに美しく牧歌的な所にこのような“軍事的・政治的緊張と対立”が存在しているということが、まるで1編の不条理劇のように見えた。これがコメディーでなければ何だというのか」
-このとてつもない悲劇をどのように克服するべきか。
「アジア人は人と会った時に相手の体面を傷つけないよう努力するという貴重なマナーを持っていると聞いている。ドイツは統一の過程でそうではなかった。東ドイツ人の体面とプライドを傷つけた。韓国と北朝鮮は理想的な態度とお互いを尊重する方式で対話しなければならない」
-南北統一はいつ頃実現すると思うか?
「ヴィリー・ブラントの東方政策も統一まで30年という歳月がかかった。韓国もこのような状態がいつまでも続く訳ではない。理想と忍耐を持って努力すれば、統一は必ず実現するだろう」
グラス氏は軍事停戦委員会の事務室で北朝鮮側に行ってみるかという勧めに「そのような悪戯はしたくない」ニ固辞し、「戻れない橋」に関する説明を聞くと、東西ベルリンでも過去に捕虜を交換したグリーニッカー(Glienicker)橋があると懐古した。「板門店を見ていると、過去、ドイツが分断していた時代を思い出す」としながら感慨に耽った。
また、板門店に年間10万人の観光客が訪れるという説明に「ベルリンの壁もそうだった」とし、「歴史的な皮肉としか言いようがない」と語った。この日、グラス氏と共に板門店を訪問した東ドイツの詩人ウペ・コルペ氏は「韓国の分断状況とドイツの統一を比べることが美徳となって欲しい」とし、南北がドイツの統一を教訓にし、しっかりした統一を達成することを望んだ。