「面白くないサッカー中継はもう要らない」

 「ついに…、富士山が崩れます!」、「洪明甫(ホン・ミョンボ)のいない韓国代表は柄のついてないモップですよね!」「あァ~、まるで人里離れた砂浜に突っ込まれているコーラの空き瓶みたいですね!」

 視聴者の隙をつくコミカルな実況で、サッカー試合観戦の妙味を与えるSBSテレビの宋在翊(ソン・ジェイク/60)キャスターと辛文善(シン・ムンソン/44)解説委員の“コンビ”が、2002年韓日サッカーワールドカップ(W杯)という正念場を迎えた。2人は31日から始まる火花飛び散るW杯中継で、数多くの“漫才”で再びファンを楽しませる覚悟だ。

 「私の使っている表現ですか?絶対に前もって準備したりはしません。状況に合わせて頭の中に浮かんだものを伝えるだけです。多様な比喩が視聴者の没入にプラスになってると思いますが、どうですか?」(宋在翊)

 「スポーツはエンターテイメントです。90分の試合結果に影響を及ぼす要素を引き出し、視聴者の“口に合うように”料理するのが解説者の役割です。宋キャスターは“調味料”の役割を充分果していますしね」(辛文善)

 1989年、イタリアW杯予選リーグから一緒に活動してきた2人は“最高のコンビ”と評価されている。長らく活動していたMBCテレビを離れ、昨年初めからSBSのマイクの前に座っている彼らは、中継放送の哲学もまったく同じだ。「サッカーは脚本のないドラマ」だということ。そして「情報のみならず、面白さも重要」だということ。

 辛委員は宋キャスターを“比喩の達人”を誉め立てた。中継の途中、宋キャスターのコミカルな比喩に笑いが漏れ、上手く解説ができなかったことは数え切れないほど多いという。今は、宋キャスターが「まるで…」と言い出すだけで怖くなるほどだという。一方、宋キャスターは辛委員の抜群の臨機応変さとエンターテイナーとしての才能のおかげで、よっぽどのことがない限り、突発状況が発生しても大丈夫だと相槌を打った。

 両氏はW杯最大の関心事である韓国の16強進出に対して慎重に展望した。荒地同然のサッカーインフラを乗り越えて16強進出を成し遂げるということは、奇跡のようなことだが、ヒディンク監督に対する全面的な支援やホームグラウンドのアドバンテージなどを勘案すると、いつになくその可能性が高いという。

 辛委員はしかし、「16強進出の結果に関係なく、酸性化した韓国サッカーに“肥料”を与えるべき」と強調した。「スポーツは投資の結実です。W杯が終了すれば、人々はサッカーの経済学、サッカーが国民の士気に及ぼす影響について確実な認識を持つはずです。

今回のW杯の最も大きな意味はここにあると思います」(辛文善)

チェ・スンヒョン記者
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