「オランダ国立バレエ団」に進出する金志英

 今月1日、文芸振興院の芸術劇場。制服姿の中学生らなど舞踊ファンでロビーはごった返していた。「オランダ国立バレエ団」に進出するバレリーナ金志英(キム・ジヨン/24)の故国での最後の舞台を見るために集まった人たちだ。

 幕が上がると赤い服に身を包んだ金志英はしばらくの間、幻想的な踊りを披露してから、客席の歓声を後にして舞台を降りた。

 1週間後、国立バレエ団の練習室で会った金志英は淡い水色のトレンチコートに白い運動靴姿だった。髪は中間くらいのレイヤードカット。「6年間ずっと、長いストレートヘアだった」という彼女は、すぐに練習服に着替えて、再び髪を結び上げたバレリーナの姿で現れた。ピンクのトーシューズを履いている。

 過去5年間、国立バレエ団の首席バレリーナとして華麗なるスポットライトを浴びてきた金志英は、今年初め、オランダ国立バレエ団と入団契約を結び、来月には韓国を離れる。

 「“ソリスト級”で、あわせて6級のうち3番目なんです」海外進出の際、そのほとんどが群舞から始めた他のバレリーナたちに比べ、いいスタートだ。女性の踊り手は男性に比べ、外国で注目されにくい。「女性の踊り手が多すぎるから。向こうも『私たちは男性の踊り手を求めている』と言われ、だめだと思ってたんですが、特別に採用してくれました」

 1998年のパリコンクールで2人舞で金賞、2000年の米国ジャクソンコンクールで銅賞など、国際大会でもその真価を発揮した金志英は、これまで『ドンキホーテ』、『ジーゼル』、『くるみ割り人形』、『白鳥の湖』、『ロミオとジュリエット』など、国立バレエ団の公演作品ごとに主役を獲得、トップの座を不動のものにした。

 評論家たちは「国内バレエの最高のテクニシャン」として躊躇なく金志英を挙げる。「回転やジャンプなど、クラシックバレエが求める技法を完璧にこなしている」、「金志英は韓国ではこれ以上飛び立つところがない。その技量や才能を導き出すトレーナーも、挑戦すべき現代舞踊の作品もない」という声まで聞こえてくる。

 「外国の舞台では、初めから私を分かってくれる拍手喝采は当然ないと思います。それでも、一人ずつファンを増やしていくことも面白いと思う」

 金志英の海外進出は確かに挑戦だ。ある評論家は「欧州舞台で注目されるためには、金志英は更に苦労しながら成長すべきだ」という。金志英もこれをよく知っている。金志英は「生きて来た過去が踊りにそのまま現われる。30歳ごろの私の踊りが楽しみ」と語った。金志英は「ヨガを習いに行く」と言って、運動靴に履き替えて、出て行った。

チョン・ジェヨン記者
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