『アンチミスコリア』に出場する62歳のカン・ジョムレさん

 忠清(チュンチョン)南道・牙山(アサン)市・湯井(タンジョン)面・鮮文(ソンムン)大学牙山キャンパス正門の隣にある「鉄人お婆さんの食堂」。スケトウダラの鍋料理とイシモチの焼物、茶碗蒸しでテーブルを一杯にしたカン・ジョムレ (62) さんが嬉しそうに客を迎える。年齢が分からないほど若く見えるカンさんは今年の『アンチ(反)ミスコリア』の出場選手だ。

 “地獄のレース”と呼ばれるトライアスロン(水泳3.9キロ・自転車180キロ・マラソン42.195キロ)に挑戦するカンさんは「スポーツをする女性が美しい」というテーマで11日、南大門(ナンデムン)メサ・パフォーマンスホールで開かれるこの大会に出場する。

 「なんで私が出来ないのよ。一度、やってみようじゃないの!」。カンさんは96年、トライアスロンに挑戦状を叩きつけた。トライアスロンの選手だった夫の金ヨンギョン(67)さんに続けと、孫娘のソンヘちゃんまで子供トライアスロン大会に出場すると意欲を見せた。

 「正式に学んだことがなかったのでスピードが落ちたりします。それでもまだ誰にも負けた事がありません」。自転車は“学生時代の自転車の実力”で何とか押し通した。水泳は町内の銭湯で練習した。「娘に一度だけ説明してもらって、頭を突っ込んで、足をバタバタさせて浴槽を1周してみました」

 カンさんが出場した初めての競技は96年6月に行われた束草(ソクチョ)大会。 4時間内に完走しなければならないトライアスロンの“オリンピックコース”だった。

 「車両通行止めをして行われる大会のコースで一人ビリで走るのが本当に申し訳なくて、結局は歩道を走ったんです。石を縛り付けたように重い足を引きずりながら折り返し地点に着くと、もう後片付けをしているんですよ。競技スタッフたちに「私は私のペースで行くから皆先にって下さい」と言ったんです。ところが、その中の1人が『もう少し』と言ってくれて、一緒に走ってくれたんです。 30分先に完走した夫は私があまりにもゴールしないものだから、救急車が通り過ぎるたびに私が乗っていると思ったそうです」

 その後、現在までトライアスロンのみならず、マラソン大会、北極熊水泳大会など、合計26競技に出場した。トライアスロンのフルコースは2回完走したが、まだ認証は受けられなかった。“17時間以内の完走”に失敗したからだ。「泳いでいる最中に足がつってしまって、たった3分だけオーバーしたこともありました。来年には必ず17時間以内にゴールするのが目標です」

 「毎日午前5時に起きて鮮文大~顯忠祠(ヒョンチュンサ)~温陽(オニャン)橋~ターミナルのコースを走るのにも時間がなくて、まともに練習する事ができません。買い物にも行かなきゃならないし、忙しい娘に代わって孫を学校に連れて行かなければならないし、料理もしなくちゃならない…」。

 カンさんはそれでも「ゴールをした時のあの達成感のために泳いで、ペダルを漕いで、走る」という。「特に泳ぎながら生きているんだなということを実感します。

苦労したことや、嬉しかったことが走馬灯のように頭をよぎる中、誰かに頼ることなく、ただひたすら前進するんです」

牙山=鄭在娟(チョン・ジェヨン)記者
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