「『白雪姫』の小人でもスターになれるんです」

 いまだ多くの演劇が不況に喘ぐ中、デビュー1年目のこの若手女優は、すでにファンクラブの会員が5200人にまで達している。

 ユ・シアターの家族劇『白雪姫を愛した小人』(朴スンゴル演出)で主人公の小人“パンダル(半月)”役を演じ、観客の涙を誘っているチェ・インギョン(24)だ。身長が153センチしかないため、ヒロインの白雪姫ではなく“小人”役にとどまったが、おかげで一躍シンデレラガールとなり、ソウル国際子供青少年演劇祭で最優秀演技賞を受賞した。今からちょうど1年前の5月4日からスタートしたこの公演を見た観客は、延べ4万人にもなる。

 彼女に直接会ってみると、低い身長と中学生のような子供っぽい顔立ちが、純粋な小人役にぴったりだった。同席した劇団代表の柳仁村(ユ・インチョン/51)氏が「私がこの30年間に味わえなかった俳優としての幸福を、インギョンは今まさに味わっている…」と話すと彼女は照れくさそうに「ハハハ…」と大声で笑った。

 この演劇は童話『白雪姫』の「7人の小人の1人が白雪姫を愛したら…」と言う仮定の下、「叶う事のない悲恋の物語」を描いた。小人の“パンダル”が白雪姫に対する無償の愛を告白することもできずに死んでしまうシーンで、翌日、魔法の鏡が白雪姫に向かって「あなたのことを一番愛したのは小人の半月」と言うと、目にハンカチを当てる観客の姿があちこちで見られる。




 チェ・インギョンは「公演を長期間に渡って演じてみると、劇場に訪れる観客の反応もさまざま。ある観客は私に『パンダルは白雪姫にカスミソウをたくさん贈りましたが、今度はパンダルが受け取って下さい』と言って、抱えきれないほどのカスミソウをプレゼントして下さったんです。10回以上見たという観客の方も多くて…。芸能人の朴キョンリム、李孝利(イ・ヒョリ)、パク・チニョンさんが、公演を見て私のために涙を流したと聞いた時は、本当に不思議な気分でした」

 彼女は“背が低い”ために今日の成功を手にしたわけだが「背が低いせいで苦労したこともたくさんあった」と打ち明ける。

 「大学(中央(チュンアン)大演劇科)に在学中、テレビタレントのオーディションを受けたんですが、面接官が私にした最初の質問が『身長はいくつですか?』だったんです。ミュージカルのオーディションもいつも落ちてばかりで、身長のせいだと思っていつも悩んでいました。『私だけができる役』があるということはいいのですが、背が低いのはやっぱり不満です」

 『白雪姫を…』は昨年5月4日に子供劇として幕を上げたが、一般の観客がさらに増加すると「子供劇」から「家族劇」に看板を替えた。歌手の李ギチャンのミュージックビデオに公演の1シーンが流れると、中高校生の熱心なファンも大幅に増えた。だが、子供の観客も相変らず多い。

 「私たちの演劇がこれだけの評判を得ているのにも関わらず、私自身は常に出演しているので、一回も見たことがなかったんですよ。

でも、今ではもう一人の“パンダル”がいるので、私も公演を見られるようになったので嬉しいです」問い合わせ(02)3444-0651

李圭鉉(イ・ギュヒョン)記者
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