「最初はモニターをまともに見ることができませんでした。背も小さいし、腹も出ているし、見た目が悪すぎて。(イ・チェロク役の)ソン・ガン君のようにすらりとした最近の子たちと一緒に立っているから、恥ずかしいったらありゃしない。ところが、ある瞬間、涙がこぼれたんです。妻に一言、『人を泣かせなきゃ。なんであなたが泣くの』と言われましたよ」。
◆【写真】ソン・ガン&パク・イナン主演『ナビレラ』制作発表..
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「最初はモニターをまともに見ることができませんでした。背も小さいし、腹も出ているし、見た目が悪すぎて。(イ・チェロク役の)ソン・ガン君のようにすらりとした最近の子たちと一緒に立っているから、恥ずかしいったらありゃしない。ところが、ある瞬間、涙がこぼれたんです。妻に一言、『人を泣かせなきゃ。なんであなたが泣くの』と言われましたよ」。
◆【写真】ソン・ガン&パク・イナン主演『ナビレラ』制作発表会
数え年で77歳(満76歳)のベテラン俳優パク・イナンの目に涙がにじんだ。先月27日に放映が終了したtvNドラマ『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』(以下、『ナビレラ』)で、70歳にしてバレエに挑戦する元郵便配達員シム・ドクチュル役を演じた。彼は先日のインタビューで、「今やっと私も舞い上がろうとしているようです」と言った。「死ぬ前にもう一度舞い上がりたくて」という『ナビレラ』の中のセリフが一番好きだったという。「若かったころ、舞台で『まあまあ演技ができる』と自信があったのですが、時間が経つにつれ、自分の演技が物足りなくて不十分に思えてきたんです。『ナビレラ』に出会ってから、そうした『飢え』が少しなくなったように思います」。
同名ウェブ漫画をドラマ化した『ナビレラ』の台本を受け取った時、彼は「幸運だ」と感じたという。演技の「飢え」は彼をいっそう鍛えた。今回の役を引き受けたことで、父親であると同時に友人として接した。さまよう「バレエの先生」イ・チェロクに「自分を信じてやってみて」と言って励ましたり、就職難に苦しむ孫娘シム・ウノ(ホン・スンヒ)のために「転ぶ時もある。いつでも立ち上がれる」と慰めたりする「ドクチュル語録」は普段の彼の姿そのままだ。愛情のこもったアドバイスが「耳の痛い小言」に聞こえないようにしようと、孫の世代に当たる共演者たちに自分の方から明るく話しかけたり、甘えたりもした。「私たちもこれまで生きてきた中でつらい思いをしてきましたが、最近の若い人たちもとてもつらいと思います。孤独で寂しさを感じているのです。少しずつ心を開いて、お互いにもう一歩近づける空間を開いてやれば、韓国社会もこのドラマのように『人々が一つになることの美学』を見せられるのではないでしょうか」。自分がへりくだって先に手を差し出す彼の「生活演技」に好評の声が相次いでいる。「プチ・イナン」(小さくて大切なパク・イナン)、「ドクミョドゥルダ」(ドクチュル〈役名〉+スミョドゥルダ〈染み入る〉)のような愛称も付いた。彼の演技を見て、「私も人生の目標ができた」「なくした夢をまた見るようになった」「人生のアドバイスにしたい」などの反響が寄せられている。つらい思いをしている若者たちを励ましてくれる「栄養ドリンク」になっているのだ。
彼は毎日テニスをして体を鍛えていたが、バレエは考えたこともなかった。6カ月間バレエ教室に通って肉体的・精神的苦痛と闘った。「『ここまでしなければならないのか』と思いながらも、つらくなると台本を見ました。私は才能もないし、芸もないし、人見知りで、人一倍頑張らないと人並みにできないということは分かっていますから。私は、私のように未熟な人も必要だと思います。マラソンのように生きていたら、こういう作品にも会えるんですね」。
1973年の百想芸術大賞演劇新人賞を皮切りに、1989年のKBSドラマ『ワンルン一家』で大きな人気を得るなど、演劇やドラマでさまざまな賞を受賞した。昨年のKBSドラマ『素晴らしい遺産』では最優秀賞も受賞している。パク・イナンは「胸ポケットに退職届を入れて歩いている」という会社員たちの言葉にならって、「胸ポケットに台本を入れて一生、生きていく」と語った。俳優としてのキャリアが57年にもなる彼にとって、台本とは人生の始まりであると同時に、終わりでもある。彼は「立っていられる力がある限り、息をしている限りは台本と共にありたい」と言った。
私たちの時代の「父親」を演じ、「国民の父」と呼ばれたパク・イナンだが、実生活では父親とあまり長い時間を過ごせなかったという。兵役中に亡くした父親のことを考えると、恋しさがこみ上げてくる。
家族にとってあらゆる面で囲いとなって守ってくれた自身の父親のような父親像を目指している。自分がやりたいことをあきらめ、子どものために生きた父親たち、母親たちに、いつの日かドクチュルのように忘れていた「夢」に挑戦してほしい。「夢を見る時期なんて、決まっているものではないと思います。先にあきらめないでください。誰が見てもバレエが似合わない私でもやってのけたじゃありませんか。あなたにとっての全盛期はまだ来ていないだけです」。
崔宝允(チェ・ボユン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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