「ああもう! 女優って本当に醜くて、やってらんない!」
演技生活18年目。一時は韓国を代表する演技派女優にも挙げられたが、いつしか、より若々しい女優に押されつつあるムン・ソリ。ひさびさに友人と一緒に登った山で会った制作関係者が「大学生の子どもがいる精肉店の女オーナー」役を勧めるやら、しかもその友人たちが宴席にまでついてきて「21世紀になって整形もしないナチュラル美人」というやらで、気分が悪い。あ..
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▲劇中の女優ムン・ソリは、ローンを組むため銀行に行く時も、人が気付くのではないかとサングラスを外さない。/写真=メタプレイ提供
「ああもう! 女優って本当に醜くて、やってらんない!」
演技生活18年目。一時は韓国を代表する演技派女優にも挙げられたが、いつしか、より若々しい女優に押されつつあるムン・ソリ。ひさびさに友人と一緒に登った山で会った制作関係者が「大学生の子どもがいる精肉店の女オーナー」役を勧めるやら、しかもその友人たちが宴席にまでついてきて「21世紀になって整形もしないナチュラル美人」というやらで、気分が悪い。あれこれと多くが重なったその日、「姉さんは姉さんなりに魅力的で、年齢にふさわしく美しい」というマネージャーの言葉に、ムン・ソリはついに泣き声を張り上げた。泣き顔でも品位を保ち、女優として生きるということがこれほどしんどいとは!
【写真】
ムン・ソリ監督『女優は今日も』メディア試写会
9月14日公開の映画『女優は今日も』は、女優ムン・ソリ(43)が監督・脚本・主演まで全て務めた作品。正直で、愉快な映画だ。機転の利いた状況設定やせりふに腹を抱えて笑ってしまい、かと思えば人生や芸術の意味について、各自の考えをじっくり振り返らせる力も備えている。演出は初めてなのかとあらためて確認してしまう秀作だ。ムン・ソリは「ドキュメンタリーではなくフィクションだが、100%本心ではある」と語った。
「女優は演技力より魅力が重要。演技力と魅力とをぶつけてみると、いつも魅力が勝つものなの!」
人生は、近くで見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇。是非とも作品に出演したかった有名監督がラブコールを送ってきたら、「パンツを脱いででもとびかかる」準備ができているのに、現実はいつも「生活者」としの戦いの連続だ。幼い娘を育ててくれる実母の体面を立ててあげようとしたら、歯医者に立ち寄って写真にも応じてやらねばならず、家のローンを返そうとしたら、銀行に行ってまたローンを組まないといけない。ノーギャラで特別出演して欲しいという顔見知りの監督の提案を拒絶しようと、酒を飲んでカラオケにまで行ったその日、床に倒れるように伸びている彼女に、映画監督の夫がこう言う。「お前、しんどかったら何か一つ減らそう」。認知症で介護を受けている義母も「一つ」で、子どもも「一つ」、作品も1年かけてやってみないといけないのに、一体何を減らすというのか。すると夫がカウンターパンチを放つ。「それじゃ、酒でもちょっと減らそう」。
終始淡々としているが、余韻は深い。上映時間は71分。12歳以上鑑賞可。
イ・テフン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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