「役をもらったので、最後までやらなければ。ばったり倒れるまでは」

　タレントの故キム・ヨンエ（享年65）は、以前受けた雑誌のインタビューで、このように語っていた。ドラマ『太陽を抱く月』の撮影中にすい臓ガンと診断されていたと、後に明かしてからのことだった。当時、キム・ヨンエは「演技は私にとって酸素と同じ」と語っていた。

　キム・ヨンエが9日、すい臓ガンに伴う合併症で死去した。所属事務所スター・ビレッジ・..

▲2014年の青竜映画賞で助演女優賞に輝き、お祝いのあいさつを受けているところ。／写真＝キム・ギョンミン記者

「役をもらったので、最後までやらなければ。ばったり倒れるまでは」

　タレントの故キム・ヨンエ（享年65）は、以前受けた雑誌のインタビューで、このように語っていた。ドラマ『太陽を抱く月』の撮影中にすい臓ガンと診断されていたと、後に明かしてからのことだった。当時、キム・ヨンエは「演技は私にとって酸素と同じ」と語っていた。

　キム・ヨンエが9日、すい臓ガンに伴う合併症で死去した。所属事務所スター・ビレッジ・エンターテインメントは「故人は2012年にすい臓ガンと診断され、手術を受けた。昨年冬に容態が悪化して治療を受けたが、世を去った」とコメントした。

　キム・ヨンエはガン治療を受けつつも演技を止めなかった。闘病しながらドラマ『わが愛しの蝶々夫人』、映画『弁護人』、『仁川上陸作戦』などに出演した。昨年8月には、KBSの週末ドラマ『月桂樹洋服店の紳士たち』で洋服店の女主人「チェ・ゴクチ」を演じた。10月以降4カ月にわたって入院したが、闘病していることを外部には知らせず、病院から外出証をもらって撮影を続けた。

　当初の計画通り50話までは撮影を終えたものの、『月桂樹』人気で4回の延長放送が決まった際には、遂に出演できなかった。ドラマでは、最後に田舎へ静養に行く様子が描かれた。今年2月26日に放送された最終話にはキム・ヨンエが登場せず、健康が悪化したのではないかという推測が出回た。『月桂樹洋服店の紳士たち』は、キム・ヨンエの遺作となった。

　キム・ヨンエは、1971年にMBCの公募タレント3期生としてデビューした。同年の『捜査班長』を皮切りに『三姉妹』、『風雲』（82）、『根の深い木』（83）、『氷点』（90）、『兄弟の川』（96）、『メン家の全盛時代』（02）などのドラマ、『冬の旅人』（86）、『燕山日記』（88）、『海賊、ディスコ王になる』（02）、『グッバイ・マザー』（09）などの映画に出演した。朝鮮王朝時代の妓生（キーセン＝芸妓）から女性実業家まで、さまざまな役割を渡り歩き、特に気配り細やかで温かい母親の役をよく演じた。90年代には食品会社「オットゥギ」のCMモデルとしても活躍し「オットゥギのおばさん」とも呼ばれた。

　74年に百想芸術大賞テレビ部門新人賞を受賞した後、82・97・00年にもそれぞれ演技賞・最優秀演技賞を受賞した。14年には映画『弁護人』で演じた献身的な母親「チェ・スンエ」役で、青竜映画賞と大鍾賞で助演女優賞を同時受賞した。

　01年には黄土製品の会社を共同設立して副会長に就任し、事業家にも変身した。黄土入浴剤は「韓国ネットショッピングのヒット商品」に成長して注目を集めたが、テレビの告発番組が「製品から重金属が検出された」という内容を放送したため、危機に直面した。韓国政府の発表で製品に有害性がないという事実が明らかになった後、経営から手を引き、俳優として復帰した。

　死去のニュースが伝わると、映画製作を手掛ける「ミョン・フィルム」のシム・ジェミョン代表はツイッターに、キム・ヨンエが出演した映画『明日へ』の写真を載せて「一緒に映画が撮れて光栄」というメッセージを残した。歌手のチョPDも「最も美しかった、あのころの姿で覚えていたい」と書き込んだ。チョPDの妹は、キム・ヨンエの息子と結婚している。

　遺族としては、息子のイ・ミンウさんがいる。遺体の安置先は新村セブランス病院。出棺は11日午前11時。

チェ・ミンギ記者

朝鮮日報／朝鮮日報日本語版

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