恋愛映画『建築学概論』(2012年)で「全国民の初恋の人」になったMiss Aのメンバーで女優のスジ(21)にスクリーンで再会するのに3年かかった。スジに会ったのは二十四節気で雪が降り始めるころとされる「小雪(しょうせつ)」の23日。会ってすぐにこの話をすると「そうなんですか。初雪にあまりロマンを感じないので…(笑)。雪が降っているのを見るのは好きですが、すぐに不安になります。道が込みそうとか、..
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恋愛映画『建築学概論』(2012年)で「全国民の初恋の人」になったMiss Aのメンバーで女優のスジ(21)にスクリーンで再会するのに3年かかった。スジに会ったのは二十四節気で雪が降り始めるころとされる「小雪(しょうせつ)」の23日。会ってすぐにこの話をすると「そうなんですか。初雪にあまりロマンを感じないので…(笑)。雪が降っているのを見るのは好きですが、すぐに不安になります。道が込みそうとか、あまりたくさん積もりすぎないでとか…」
スジは「初雪が降ったら会おう」と言っていた『建築学概論』のヒロイン、ソヨンとは全く別の人になって戻ってきた。韓国の口承文芸「パンソリ(唱劇)」で初の女性名唱者とされる陳彩仙(チン・チェソン、1842-?年)。 11月25日に封切られた『桃李花歌』は観客を19世紀半ばの世界へといざなう。パンソリをすることが女性に許されていなかった時代、陳彩仙は申在孝(シン・ジェヒョ、1812-1884年)が建てたパンソリ学堂「桐里精舎」で見よう見まねにより学ぶ。同映画でリュ・スンリョンが演じる申在孝はパンソリ作家・研究家で、「パンソリの父」と呼ばれている人物だ。男では決して十分に表現できない「春香歌」を歌い、師匠と、高宗の実父でキム・ナムギル演じる興宣大院君を感動させるシーンがクライマックスだ。スジは「台本を読んで所属事務所のレッスン生時代に感じた思いがわいてきました。陳彩仙のしっかりした面にひかれて出演を決めた映画です」と語った。
-「歌手になる」と宣言したのは中学1年生のときですね。
「うわべだけを見ていると思われたのか、家族は大反対でした。こっそり芸能学校を調べて路上ライブに参加して、めげずに頑張りました。陳彩仙と私の共通点は意地と忍耐力です(笑)。何カ月かたってライブを見てもらい、やっと夢を認めてもらいました」
-先が見えなくても情熱があったレッスン生時代がときどき懐かしくなりますか。
「すごく懐かしいです。一日三食カップラーメンでもつらくありませんでした『桃李花歌』に出演するためパンソリの名唱者、パク・エリ先生に1年ほどご指導いただいていたとき、そのころのことをよく思い出しました」
-パンソリとK-POPは全然違うと思いますが…。
「K-POPを歌うときは半仮声という声を出しますが、パンソリは『センソリ』という声を出さなければなりません。最初は声だけ無理に出していたのですぐにのどを痛めました。先生が『筋がいいし声もよく合っている』と励ましてくださいました。習ったパンソリを録音して繰り返し聞くうちに少しずつマシになってきました」
-自分で見てもよくやったと思うところは?
「(妓生の娘と両班の息子の身分違いの恋物語)『春香歌』の中の場面です。慶尚南道陜川の黄梅山でロケをしたのですが、自然と相まって円熟した声が出ました。逆にヒロインの春香(チュンヒャン)が獄中で李夢竜(イ・モンニョン)を思って歌う場面は、感情が深くもの悲しすぎて苦労しました。歌よりも切実な気持ちを表現することに集中しました」
-『建築学概論』のときは軍人のような歩き方のために苦労しましたね。
「今回は天真らんまんなところが生かされていて逆に助かりました」
-一番好きなセリフは?
「『思いっきり泣きなさい。泣いたら笑えるようになる』と『私はパンソリを歌っている最中に死にたい』です。よく思い出します」
-夢をかなえたからこそ不自由になったこともあると思います。ストレスはどのように解消していますか。
「フランスに行って写真を撮ったのですが、どれも日常の一コマです。自転車に乗る恋人とかアイスクリームを食べる子どもとか…。私は韓国では街中を歩くのも大変です。関心を持っていただけるのはありがたいですが、日常がさらされているのに疲れて家から出ません。ストレスはドライブで解消します。(京畿道河南市の)八堂ダムはしょっちゅう行くので、目をつぶってでも運転して行けるほどです(笑)」
-「全国民の初恋の人」に代わる形容詞は考えてきましたか。
「宿題でしたができませんでした。やめるわけにもいかないし、いろいろ考えても出てこないんです。初恋の人は『建築学概論』という映画の中のイメージじゃないですか。私はそうじゃないので、ときどき罪悪感もあります。期待にお応えしなければという気持ちも特にありません。これを乗り越えなければ…」
最後に、スジは「『桃李花歌』は初恋の物語ではありませんが、心穏やかなドラマと感動があります!」と声を大にして言った。次のスケジュールがあるからと言って急いで席を立っていった。木の階段を降りるとき、タッタッタッタッという足音がした。
朴敦圭(パク・トンギュ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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