映画『暗殺』(チェ・ドンフン監督)が観客動員数1000万人を突破した。同作は韓国映画史上、さまざまな記録を打ち立ててきたが、中でも最も目を引くのは、女性主人公の映画で初めて1000万人を動員したということ。今夏、映画界は『暗殺』を筆頭に、女性旋風が巻き起こっている。
『暗殺』は光復節(日本による植民地支配からの解放を記念する日)に当たる8月15日、観客動員数1000万人を突破した。
同作は193..
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▲上段左から時計回りに『暗殺』のチョン・ジヒョン、『侠女:剣の記憶』のキム・ゴウン、『侠女:剣の記憶』のチョン・ドヨン、『誠実な国のアリス』のイ・ジョンヒョン、『ミス・ワイフ』のオム・ジョンファ、『ビューティー・インサイド』のハン・ヒョジュ。
映画『暗殺』(チェ・ドンフン監督)が観客動員数1000万人を突破した。同作は韓国映画史上、さまざまな記録を打ち立ててきたが、中でも最も目を引くのは、女性主人公の映画で初めて1000万人を動員したということ。今夏、映画界は『暗殺』を筆頭に、女性旋風が巻き起こっている。
『暗殺』は光復節(日本による植民地支配からの解放を記念する日)に当たる8月15日、観客動員数1000万人を突破した。
同作は1933年の上海と京城(現在のソウル)を舞台に、親日派の暗殺作戦をめぐり独立軍と臨時政府の要員、そして殺人請負人の、それぞれ異なる選択と運命を描く。180億ウォン(約18億9000万円)が投じられた大作としては珍しく、女性主人公が物語を引っ張る。チョン・ジヒョンが独立軍暗殺団のリーダーとして登場し、イ・ジョンジェ、ハ・ジョンウらそうそうたる俳優たちの中心に立った。
チョン・ジヒョンの魅力が『暗殺』をヒットに導いた要因の一つだということは明らかだ。同作は光復70周年を迎えた日に観客1000万人を超え、韓国映画にとって呪いの時代と呼ばれる1930年代を舞台にした映画の中でヒットに成功。何よりも女性が主演を務めた映画では初めて1000万人を動員した。
『暗殺』にチョン・ジヒョンがいるなら、8月13日公開の『侠女:剣の記憶』(以下、『侠女』)にはチョン・ドヨンとキム・ゴウンがいる。高麗末期を舞台にした『侠女』は、王の座を手に入れるため愛と大義を捨てた男を処断しようとする女性たちの物語。チョン・ドヨンが愛のせいで視力を失った女剣士を、キム・ゴウンはそんなチョン・ドヨンが復讐(ふくしゅう)のため育てた弟子として登場する。このような武侠映画では通常、師匠の代わりに復讐の刃を向ける悲劇的な運命を背負う主人公は男性の役割だった。同作は、そのような構図を思い切って女性に変えた。
同じく8月13日公開の『ミス・ワイフ』も、ヒロインが物語の中心だ。同作は、独身の敏腕弁護士が天界のミスで命を落とした後、1カ月間平凡な主婦として生きることになり、繰り広げられるエピソードを描く。オム・ジョンファが主人公を演じた。独身女性が主婦になり、家族の大切さに気付くという、典型的なホームドラマだが、韓流スターのソン・スンホンではなくオム・ジョンファが物語の中心にいる点が目を引く。
8月13日公開の『誠実な国のアリス』にはイ・ジョンヒョンがいる。いくら努力しても幸せになれない社会に刃を向ける女性の物語。イ・ジョンヒョンのための、イ・ジョンヒョンによる、イ・ジョンヒョンだけが演じることのできた作品だ。
8月20日公開の『ビューティー・インサイド』は、朝目が覚めると毎日別人になっている男と、そんな男を愛する女によるファンタジー・ロマンスを描く作品。相手役が変わり続けるので、ヒロインが映画の軸をしっかり支えなければいけない映画でもある。ハン・ヒョジュがその役割を120%果たした。
韓国映画は今年、以前とは異なり女性中心の映画が多い。カンヌ国際映画祭にそろって招待された『チャイナタウン』と『無頼漢』では、それぞれキム・ヘスとチョン・ドヨンが中心にいた。
このような一連の流れは偶然だが、必然でもある。同じジャンル、慣れ親しんだ物語があふれている中で、主人公を女性に変えるだけで新しいということを、クリエーターたちが気づいたからだ。チェ・ドンフン監督は「独立運動と言えば荒々しい男たちの世界だと認識されがちだが、実際は女性運動家がとても多い。だから女性が主人公なら、慣れ親しんでいる物語でも新たに受け入れられると思った」と話した。
また、女性を主人公にしてもヒットできると投資会社が確信するほど、社会の雰囲気が変化していることも関係している。以前なら、女性主人公が物語を引っ張る映画に180億ウォンを投じる会社はどうかしていると言われたはずだ。
もちろん、まだ道のりは遠い。『暗殺』が1000万人を超えたからと言って、突然変わるものではない。しかし、前例があるということが重要だ。監督、プロデューサー、投資会社、そして観客も、女性でもヒットさせられることを目撃した。これからは、女性だからこそできる映画が少しずつ増えていくだろう。
チョン・ヒョンファ記者
STARNEWS/朝鮮日報日本語版
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