ドラマ制作現場は『銭(ゼニ)の戦争』という作品のタイトルと同様、し烈な戦場だ。韓流ブームに一口乗ろうとする人々により市場そのものが過熱して歪曲(わいきょく)され、どこまでが投資でどこまでが投機であるかがあいまいになってしまった。「人気演出家の自殺」という極端な例はこうしたことを背景に起こったのだ。
韓流ブームに乗り、2000年代には中小規模の制作会社が「雨後の竹の子」式に誕生した。昨年末現在で政..
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▲キム・ジョンハク氏が制作・演出したドラマ『太王四神記』
ドラマ制作現場は『銭(ゼニ)の戦争』という作品のタイトルと同様、し烈な戦場だ。韓流ブームに一口乗ろうとする人々により市場そのものが過熱して歪曲(わいきょく)され、どこまでが投資でどこまでが投機であるかがあいまいになってしまった。「人気演出家の自殺」という極端な例はこうしたことを背景に起こったのだ。
韓流ブームに乗り、2000年代には中小規模の制作会社が「雨後の竹の子」式に誕生した。昨年末現在で政府に登録されている外注制作会社は1231社。しかし「このうちドラマ制作能力が十分にあるとされる制作会社は20社にすぎない」と業界関係者は話す。この4-5年の間に参入した制作会社には、ドラマ制作経験が一度もない不動産業者や風俗営業者も多いことが分かった。
このように制作会社が急増するにつれ、制作費をできるだけ抑えようというテレビ局と、安値でも仕事をもらって稼ごうという設立間もない制作会社の意向が一致し、「制作単価たたき売り」が慣行として定着したと指摘されている。
1話当たりの出演・執筆料が数億ウォン(1億ウォン=約900万円)単位まで跳ね上がっている「スター俳優」「スター脚本家」の出演料・契約料もドラマ制作現場をすさませているという。「人気スターさえ起用すれば、適当に作ってもヒットする可能性が高い」という心積もりから「キャスティングへの口出しは無用」とばかりに出演者を決めたものの、視聴率などで惨敗すると出演料未払いなどの事態に至る。韓国放送演技者労働組合によると、2009-12年に放送されたドラマ9本で出演料30億ウォン(約2億7000万円)が今も未払いになっているという。
制作会社が間接広告(PPL)やオリジナル・サウンド・トラック(ドラマ挿入歌・挿入曲)といった付随事業に力を入れる余り、訴訟沙汰も急増している。日本でのファンミーティング開催という「あて」が外れて関連製品の露出度が下がり、それによる不満などが訴訟に発展するのだ。
専門家は「『良い作品』よりも『カネになる作品』のことばかり考える『一発狙い』から脱却しなければならない」と指摘する。「高額になりすぎたスター俳優の出演料をまず現実的な額に調整するべき」(ホン・スンギ仁荷大学法学専門大学院教授)、「ドラマを作る能力が不十分な制作会社を見分けることができる制度的装置を整えなければ」(MBCキム・ドフン・プロデューサー)という声が上がっている。
鄭智燮(チョン・ジソプ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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