キム・テヒはデビューしてから今までひたすら女優になることにこだわり、努力してきた。一時は演技力に難があると取りざたされたこともあったし、もちろん「迷った」こともあった。しかし、5年前の映画『喧嘩-ヴィーナスvs僕-』(2007年)でインタビューしたとき「演技をするのが『私の運命』のようです」と本人が言った通り、女優としての運命を選び、その後もどんどん輝きを増している。
キム・テヒは、昨年末に終了..
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キム・テヒはデビューしてから今までひたすら女優になることにこだわり、努力してきた。一時は演技力に難があると取りざたされたこともあったし、もちろん「迷った」こともあった。しかし、5年前の映画『喧嘩-ヴィーナスvs僕-』(2007年)でインタビューしたとき「演技をするのが『私の運命』のようです」と本人が言った通り、女優としての運命を選び、その後もどんどん輝きを増している。
キム・テヒは、昨年末に終了した日本のドラマ『僕とスターの99日』でまた新たな出演キャリアを積み重ねた。昨年の『マイ・プリンセス』でロマンチック・コメディーに初挑戦したキム・テヒは、日本のドラマでもう一度、自分自身を試験台に乗せた。これについて先日、電子メールでインタビューを行った。メールの文章からは、キム・テヒの慎重さと率直さがにじみ出ていた。
-『マイ・プリンセス』では「プリンセス」イ・ソル、『僕とスターの99日』では「トップ女優」ハン・ユナ。女優なら一度は演じてみたいと思う役を次々と演じてきましたが、どのようにして演じることになったのですか。
「『マイ・プリンセス』は、1-2話分のシナリオを読んですぐ演じたいと思いました。イ・ソルの明るくてはじけるようなキュートなキャラクターに魅力を感じたんです。『僕とスターの99日』は日本のドラマということで、外国語で演じなければならない作品でした。だから企画段階からそのことを念頭に置き、わたしをはじめ多くの皆さんが一緒に悩んで、ハン・ユナというキャラクターを完成させました」
-イ・ソルとハン・ユナ、どちらの役もキム・テヒさんにピッタリでした。オーダーメードの服を着ている感じというか。どちらの作品もロマンチック・コメディーだからか、演じているうちにご自身も明るい気分になったのでは?
「『僕とスターの99日』はまず、設定が私の実際の状況とよく似ていました。韓国から日本に進出した女優という点が、です。だから自然とわたしの本来の姿がうまく出せたようです。(ハン・ユナは)表向きは華やかで女らしく見える女優ですが、家に帰ると、その瞬間に緊張がほどけ、イメージとは正反対の素の姿に戻ります。誰も私に気が付かないような場所で羽目を外すことを夢見るところはすごく共感できました」
実際、『マイ・プリンセス』のおかげで、以前に比べ人々の視線を意識し過ぎないようになり、恥ずかしいと思うこともかなりなくなったように思える。イ・ソルというキャラクターがとても気に入り、本当に彼女のようになりたいと思ったそうだ。そう思いながら3カ月間演じ続けるうちに、自分でも気付かないうちに、確かにイ・ソルに似てきたようだという。
-『僕とスターの99日』はキム・テヒさんのリアルな姿がかなり反映されていたのでは? ハン・ユナがボディーガード(西島秀俊)の目を逃れ、ホテルを抜け出すときの服装は、ときどきインターネット上に掲載されているキム・テヒさんの生写真にそっくりでした。ハン・ユナのように羽目を外したいと思ったことはありますか。あるなら、どんなときにそう思いますか。
「日本では帽子をかぶってメガネをかければ気付かれませんが、韓国では近くまで来るとみんなわたしだということに気付きます。だから、いくら変装しても翌日の新聞に載ってしまうようなことはできません。でも、外国ではやはり自由な気持ちになりますね。私が夢見る一番の羽目の外し方は、アメリカの映画『恋人までの距離(ディスタンス)』(1995年)のようなロマンスです。外国で知り合った男女2人の旅行者がいろいろ語り合ううちに恋に落ちる…というストーリーです。残念ながら、まだそういう経験はありませんが」
-ハン・ユナがお酒を本当においしそうに飲んでいるシーンが印象的でした。実際はどうですか。お酒はたしなむ方?
「ときどき気持ち的につらいときにお酒の力で和らげられないかと思いますが、体質的にお酒を飲んでも気分が良くなることはないようです。お酒を言い訳にして失敗したりすることにもちょっと抵抗感があります。お酒の席ではムードを壊さない程度に飲みますが、お酒に飲まれないようにしっかりしようと気を付けています。でも、顔がすごく赤くなるので、最初はお酒を勧められますが、そのうちみんなわたしの顔を見て驚き、勧めなくなります。きっとすごく赤くなるからゾッとするんでしょうね」
-言葉というものは、イントネーション・発音・音の長短などでてニュアンスも意味も違ってくるため、外国語のせりふは大変だったと思います。でも、思っていた以上にナチュラルな感じでした。かなり前から勉強していたのですか。
「日本のドラマに出ることが決まったのは『マイ・プリンセス』の撮影直前でした。『マイ・プリンセス』撮影前に3週間ほど日本語の勉強をしましたが、撮影が始まると忙しくなってしまい、何もできませんでした。そして『マイ・プリンセス』が終わった後も、体力が尽きて約2カ月間何もできませんでした。そうしているうちに日本語に対する危機感に襲われて…。学生時代は『一夜漬けの達人』でしたが、やはり勉強は切羽詰まると一番効率が良くなるようです。ところが、問題なのはあわてて頭に詰め込んだことは忘れるのも早いということでした」
「ですが、ただ暗記するのと、暗記したせりふに感情を込めて演技するのは天と地ほど違います。そして、どれだけ一生懸命日本語を勉強したとしても、母国語のように自然なニュアンスで表現するのはほぼ不可能です。そのため、日本人のマネージャーさんたち、日本の所属事務所の俳優さんたち、そして通訳さんに本当にいろいろとお世話になりました。わたしが日本語で演技をすると、そのイントネーションや発音で感情を伝えるのに引っ掛かる点はないか、常に周りの人々にチェックしてもらいました。わたしはそれしか頼るところがありませんでしたから。自分のせりふの言い方が正しいのかそうでないのか判断できず、演技が終わってから混乱したり、つらい思いをしたりしました。共演の西島秀俊さん、佐々木蔵之介さん、同じ所属事務所の桜庭ななみちゃん…。この素晴らしい共演者3人も本当にいろいろと気遣ってくれたし、手助けもしてくれました」
-相手役の西島さんとの息はピッタリだった?
「西島さんは現場ではいつも笑顔で、周囲のスタッフたちへの心配りを忘れない心の温かい人でした。相手役の素の姿が役柄とあまりにもかけ離れていると、その人を愛する演技に気持ちを込めるのが難しいのですが、その点、西島さんは優しくて純粋な心の持ち主なので、わたしもユナ役に十分入り込むことができました。俳優としても演技がとてもお上手で、言葉が通じなくても息を合わせるのはそう難しくありませんでした」
-韓国と日本を行き来しながら、ドラマの撮影では日本に長い間滞在しましたね。寂しい思いもしたと思いますが、そういうときはどのように過ごしていましたか。
「寂しがる暇がないほどタイトなスケジュールでした。韓国に帰る日まで、あれこれやることが多くて気が気ではありませんでした。ドラマ撮影の真っ最中だった(昨年)11月には、韓国に5回くらい戻りました。1週間に一度は韓国でのスケジュールがあったことになります。日本とは飛行機で2時間くらいですが、それだけ頻繁に行き来するのはやはり大変でした。韓国での仕事も、日本での仕事も、もっと余裕を持って準備して、楽しみながら撮影できればよかったのに…と思うと悔いが残ります。いつも疲れていて、とてもデリケートな状態だったので、現場をしっかり楽しみながら仕事ができなかったような気がして、ドラマが終わった後、実はちょっと心残りでした」
-日本にいる間、韓国のファンに対する思いも特に強かったようですね。ブログに近況をつづり続けたのも印象的でした。ファンに何か伝えたいことは?
「『外国に行くと誰でも愛国者になる』という言葉の意味が今、ようやく分かった気がします。韓国人としての誇り、韓国の地位がもっと高まれば…という気持ち、韓国のファンの大切さ…。本当にいろいろなことを感じ、気付きました。ファンの皆さんの声援や愛がこれまでにも増して大きな力になった1年でした。気が弱くなり、愚かな考えが浮かんでくるたび、私を奮い立たせてくださるのはファンの気持ちと無償の愛です。本当に感謝しています」
-今後の予定は? 韓国のファンはいつごろ、キム・テヒさんの作品が見られますか。
「まだ次の作品は決まっていません。『IRIS-アイリス』以降休まず続けて作品に出ているのでとても疲れています。でもその一方で、私の気持ちにスッと入ってくるような作品に早く出会いたいという気持ちもあります。ドラマの撮影中はオファーが入ってきても、その作品のシナリオを読む気持ちの余裕も時間の余裕もなく、そのままにしていました。これからまたじっくり、いい作品を探そうと思います。ドラマ・映画関係者の皆さんからのラブコールをお待ちしています」
-昨年はご自身にとってどのような年でしたか。そして今年はどんな年にしたいですか。
「昨年は新たな挑戦にワクワクし、ハードな1年でした。今年はより深みのある女優を目指したいです」
パク・ミエ記者
edaily/朝鮮日報日本語版
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