ドラマ『私の心が聞こえる?』でキム・ジェウォン、ファン・ジョンウムと共演。複雑な立場にほんろうされていく、物語の軸となるマル役を好演し、俳優としての評価がぐんと高まったナムグン・ミン。初の日本ファンミーティングのため来日、インタビューに応じ、演技へのひたむきな思いと、飾ることない素顔をめいっぱい披露してくれた。
―来日して、日本の印象は。日本でやりたいことはありますか。
「日本は2回目です。200..
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ドラマ『私の心が聞こえる?』でキム・ジェウォン、ファン・ジョンウムと共演。複雑な立場にほんろうされていく、物語の軸となるマル役を好演し、俳優としての評価がぐんと高まったナムグン・ミン。初の日本ファンミーティングのため来日、インタビューに応じ、演技へのひたむきな思いと、飾ることない素顔をめいっぱい披露してくれた。
―来日して、日本の印象は。日本でやりたいことはありますか。
「日本は2回目です。2003年にミュージックビデオ撮影で来ました。その時は仕事ですぐ帰ってしまったんですが、日本はきれいな国だという印象があります。今回も、きれいで整った国だと思いました。韓国では、街中で人に気付かれてしまいますが、日本では自由に食事をするとかを周りを気遣うことなく過ごせると思うので、いろいろと楽しみたいですね」
―初めての日本ファンミーティングですが、これまで日本に来る機会がなかった理由は。
「特に理由はないんですが、これまでは、皆さんにぼくのこのキャラを見て、といえるような作品がなかったんですね。今回はそういう作品に出会えたので、これを機に、日本のファンの皆さんにごあいさつし、感謝の気持ちを伝えようと思いました」
―前半は、母のイ・へヨンさんに甘えるようなところ、キム・ジェウォンさんと子犬のようにじゃれるところなどかわいいシーンが印象的でしたがどういう気持ちで演じましたか。
「マルは家族への憧れを抱いていました。そして、問題を抱えていたので、いい弟、いい母とで幸せな気持ちを表そうと思って演技しました。ベッドの上でじゃれ合うシーンはジェウォンさんと初めて会った日でした。まだぎこちない状況で、あんなシーンを撮ることになったのですが、おかげですぐ親しくなることができました(笑)」
―後半、悪人に転じましたね。
「自分が理想のタイプだと思っていた人が自分の手をにぎってくれて、母になって、それなのに捨てられて、その陰に陰謀があったと知りという憎悪の中で演技しました。母を困らせようとするわけですが、悪役になりきろうとしたけど、結局はできなかった。どんなに母が自分を利用しようとしても母を愛していた…とても複雑な思いでしたね」
―キム・ジェウォンさん(ドンジュ役)、イ・へヨンさん(ヒョンスク役)、チョン・ボソクさん(ヨンギュ役)とのエピソードを教えてください。
「キム・ジェウォンさんとはベッドの上で話すようなシーンが多くて、急速に親しくなり、楽しく撮影できました。彼は普段はよくはしゃいだり騒いだりしているんですが、いざ撮影に入るとプロで、すぐ役に入って、互いに演技への信頼もわきました。イ・へヨンさんはお母さん役で、普段は優しく話していたんですが、(演技では)ラフな話し方をしたりして恥ずかしかったですね。チョン・ボソクさんとは、感情シーンがたくさんあったんですが、前半の方は遠くから見ているシーンが多く、感情を集中させるのが少し難しかったです。だんだん、近い距離で感情を交流させながら演技をするようになってからはやりやすかったですが、涙を流すシーンも多かったですね」
―自身で好きなシーン、思い入れのあるシーンは。
「16話ぐらいのミニシリーズなら、そのうち感情がよく表されるシーンは4、5回ぐらいで多いという感じなのですが、今回は30話の中で、感情のシーンが毎回のように、何度もあって思い出のシーンがたくさんありすぎて…。視聴者の方には、マルがウリに近づきたいが近づけない感情シーンで、手のひらをはさんでキスするシーンが愛されたようですが、いいシーンだったと思います。自分は、母が自分のことを裏切ったと知ったとき、拘束された状態で母に感情をぶつけるシーンが一番心に残っていますね」
―この作品で俳優としての評価も高まりましたが、そのことについてどう思いますか。
「これまでも一生懸命演技してきたんですが、今回多くの方に評価していただき、感謝でいっぱいです。でも自分が急に演技がうまくなったというわけではなく、いい監督と言い作家、自分に合ったキャラだったからでしょう(笑)」
―では、自身の満足度、何点を付けますか。
「自分の演技を自分で評価するのは恥ずかしいです。でもぎごちなくとか、無理してやろうとしたところはまったくなかったと思います。演技が良かったというより、作家が非常によく書いてくれたので…80点というところでしょうか」
―話は変わりますが、大学時代に、MBCタレントオーディションをきっかけにいろいろなオーディションを受けて、この道に入ったそうですが、最初から俳優を目指していたのでしょうか。
「父親が教育者で、幼いころから親の言うことをよく聞く子で、親の希望通り、いい学校に行って、いい会社に就職して、と思っていたんですが、大学の専攻が自分の適正と合わないところに行ってしまい、学校にもあまり行かなくなって、初めて自分はどういうことをすべきかと考えたんです。小さいころから、時間に合わせて学校に行くことが苦痛だったので、何かフリーランサーの仕事ができればと漠然と思っていたとき、テレビでタレント試験をやるというのを見て、行ってみようかと母親に話したところ、思い出作りに行ってみれば、と言ってくれたんです。母は一度受ければあきらめると思ったからのようですが、行ってみて、自分がやりたいのはこういうことだ、と思ってハマっていきました」
―08年10月に除隊されてから、復帰作の『セレブの誕生』まで1年半近くありましたが、時間をかけた理由は。
「特に時間をかけようと思っていたわけではないんです。軍隊に行く前は、正直あせるような気持ちがあったのですが、行ってからは余裕が生まれました。自分に合うキャラクターやドラマを捜していたら遅くなりました。でも振り返ってみると、その考えは間違っていたようです。いい作家・監督であれば、自分に合わないと思っても挑戦していくべきだと思いました。これからは、空白期間をあまりおかないで挑戦していきたいと思っています」
―ジム通いが趣味だそうですが、それ以外にハマっていること、休みにすることは。
「普段のナムグン・ミンは、友達もあまりいないし、特に関心のある趣味もないつまらない男です(笑)。ジムに行って、帰ってきたらおいしいものを食べて、テレビを見て、ゲームをしてというのがすべて。これからはこういう質問に関心をもってもらえるような答えができる何かを作りたいとは思うんですが、とりあえず、これが本当の自分です(笑)」
―ということは、彼女もいない? ちょっと寂しいのでは。
「(彼女は)いないですね。今は仕事に集中すべき時期だと思うから。こんなときに異性に関心を向けてしまって、後で後悔することがあったら、その人をうらんでしまったり、感情としても平静でいられない気がするんです。寂しくないといえばうそになるかもしれないですが、軍隊から帰って、人々にもある程度認められたときなので、仕事にまい進する機会が訪れたと思っています。次回作にも関心を寄せていただいてますし、ファンの方の期待に応えるためにも、早く作品に入りたい気持ちです。ちょっと寂しいときは、パンを食べながら映画を見れば大丈夫です(笑)」
ナムグン・ミンは、プライベートな質問を嫌うと聞いていたのだが、この日はとても率直に、気持ちよく話してくれた。演技に没頭したいというナムグン・ミンの思いはファンにはこの上ないうれしいこと。一方で、もう少し遊びも楽しんだらいいのにと思ったが、彼の心はとても充実していると感じられた。今、ナムグン・ミンがハマっていること=俳優の仕事が、この上なく楽しそうだから。早く、次回作で輝く姿に会いたい。
野崎友子通信員
朝鮮日報日本語版
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