彼女には緊張や不安どころか、期待やトキメキさえないようだった。女優ペ・ドゥナ(31)が17日に本紙の電話インタビューに応じた。ペ・ドゥナは仁川国際空港へ向かう車内にいた。映画『マトリックス』シリーズを手掛けた監督、ラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟と、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクバ監督が共同監督を務める映画『クラウド・アトラス』(原題)撮影のため、ドイツへ向かう。ペ・ドゥナのハリウッ..
続き読む
▲ペ・ドゥナは17日、本紙とのインタビューで「プフフフフ」と何度も笑いながら「撮影現場ではおどけながらスタッフを楽しませています」と語った。写真は、今年1月に終了したドラマ『グロリア』でクラブ歌手を演じた時のもの。/写真提供=MBC
彼女には緊張や不安どころか、期待やトキメキさえないようだった。女優ペ・ドゥナ(31)が17日に本紙の電話インタビューに応じた。ペ・ドゥナは仁川国際空港へ向かう車内にいた。映画『マトリックス』シリーズを手掛けた監督、ラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟と、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクバ監督が共同監督を務める映画『クラウド・アトラス』(原題)撮影のため、ドイツへ向かう。ペ・ドゥナのハリウッド進出に、メディアもファンも多大な関心を寄せているが、当本人は淡々している。「台本の読み合わせのとき、ヒュー・グラントとベン・ウィショーに英語での演技を褒められたそうだが、どんな気持ち?」と質問すると「少しうれしかった」と表情をうかがい知れない独特のハスキーボイスで、普通の会話をするように淡々と答えた。
デビッド・ミッチェルの同名ベストセラー小説を映画化した『クラウド・アトラス』は1億ドル(約76億円)以上の予算が投入されるハリウッド大作だ。トム・ハンクス、ハル・ベリー、ヒュー・グラントなどトップスターが出演、19世紀の太平洋から世紀末、未来の世界まで、それぞれの時代や場所を舞台に六つのストーリーで構成される。ペ・ドゥナは6番目のエピソードで、2144年にソウルにいるクローン人間「ソンミ‐451」役を演じる。
ペ・ドゥナは3月末に台本を受け取ったそうだ。「わたしが所属事務所やマネジャーなしで活動している時期だったため、ウォシャウスキー監督は韓国人監督や制作者に聞き回ってわたしの連絡先を知ったそうだ」と語った。台本を受け取ってから1週間後、ペ・ドゥナはウォシャウスキー監督とテレビ会議を行い「台本にある2シーンを演技しビデオを送ってほしい」と言われたという。ペ・ドゥナは「CM監督の兄がわたしの部屋で演技するところを撮影してくれた。その動画を見たウォシャウスキー監督は好感を持ったようだ」と語った。そして5月末にベルリンで監督たちに会ったという。「監督と会った時も震えたり緊張したりはしなかった。米国人の監督たちとのミーティングは初めてなので『いい経験にしよう』と思った」
『クラウド・アトラス』出演が決定したのは6月。パク・チャヌク監督(『復讐(ふくしゅう)者に憐れみを』)、ポン・ジュノ監督(『ほえる犬は噛まない』『グエムル‐漢江の怪物‐』)、是枝裕和監督(『空気人形』)だけでなく、ウォシャウスキー監督、トム・ティクバ監督が出演作の監督に加わるのだ。名監督たちに愛される理由について尋ねると、「わたしの演技には埋めるべき余白が多いようです。ですが、わたしのことが嫌いな監督たちにはすごく嫌われているのでは、と思います」と答えた。
先月、ベルリンで月『クラウド・アトラス』全キャストが出席する台本の読み合わせがあった。ペ・ドゥナは「皆さん演技が上手で楽しかったし、雰囲気も良かった」と語った。今回の映画ではイギリス英語を使いこなさなければならない。「今回の映画の前に英語を勉強したのは、日本映画『空気人形』の撮影が終わってから6カ月間、ニューヨークに語学留学したときだけ」。出演決定後は大学の音声学の権威を訪ね、声とイントネーションの使い方から口の形・口腔の構造まで習った。また、英国人の英会話の先生がおり、『クラウド・アトラス』のダイアローグ・コーチ(セリフの発音やイントネーションなどの指導者)とネットの画像チャットで練習したそうだ。
「それだけたくさん練習したからヒュー・グラントが褒めるほどにまでなったのだろう」と言うと、少しためらってから「実は台本読み合わせのときはせりふで詰まるのではと心配して、台本にあるわたしのせりふを丸暗記していった。シャワーを浴びるときや車に乗っているとき、ブツブツ言いながら覚えた」と言ったかと思うと「あーっ! 恥ずかしい」と声を上げた。「頑張っているところを見せるのがイヤ。もともと、いろいろ練習したり準備したりしていっても、現場では何もしてこなかったようなふりをするタイプ」
「私は自分自身に対してすごく冷静なので、簡単に満足しない。ただ『やればうまくできる』という自信はある。海外に進出すればみんな緊張するだろうが、韓国でも日本でも、どこでも映画の撮影現場は現実。足が震えたり緊張したりするのではなく、現場が大きければ大きいほどかえって落ち着いて強い姿勢で臨むようになる」
このように「淡々」どころか「大胆」でいられるのはなぜだろうか。その答えは「母がそう育てたから」だった。
最後に、ドイツで撮影する心境を尋ねた。少し前まで「プフフフフ」と笑いながら冗談を飛ばしていたのに、再び表情をうかがい知れない独特のハスキーボイスで「映画の撮影前から注目を浴びていること以外は、ほかの映画を撮る時とまったく同じ」と語った。
ピョン・ヒウォン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com