俳優リュ・スンボムが思うに、彼はまだ混沌(こんとん)とした状態にあるそうだ。
大衆映画の俳優としていつも見られる立場にいることへのプレッシャーと、俳優としての自意識、表現したい部分を現実の枠内にできるだけ合わせていかなければならないというジレンマは、常にリュ・スンボムの中にある。
先月31日に映画『怪しい顧客たち』のメディア試写会が行われた際、感想を聞かれると「ぼうっとしている」と答え、..
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俳優リュ・スンボムが思うに、彼はまだ混沌(こんとん)とした状態にあるそうだ。
大衆映画の俳優としていつも見られる立場にいることへのプレッシャーと、俳優としての自意識、表現したい部分を現実の枠内にできるだけ合わせていかなければならないというジレンマは、常にリュ・スンボムの中にある。
先月31日に映画『怪しい顧客たち』のメディア試写会が行われた際、感想を聞かれると「ぼうっとしている」と答え、一部でひんしゅくを買った。だが、こうしたエピソードこそ、プレッシャー・自意識・ジレンマを抱えるリュ・スンボムの気持ちをよく現している。リュ・スンボムはこの日、メディア上映館より10分ほど遅く上映が始まった配給映画館から移動してきたため、映画を最後まで見ていないまま記者懇談会に出席した。
「映画をきちんと見られず、返事の準備もできていなかった状態だったので、自然にそうした言葉が出てしまったが、いつも大勢の人の前に立たなければならない『大衆俳優』としては、そのようなことを言ってはダメでしょう」(笑)
リュ・スンボムはいつも「自分がしたいとおりに」動いてきたと考える。しかし、20代のころ反抗心あふれる目をしていたリュ・スンボムも、30代に入り少し成熟してきた。
「映画であれ、人生であれ、ある地点では現実に合わせ生きていくべきだと思う。特に、商業映画はある枠の中で大勢の人々と交流しなければならない部分があるから。しかし、本来あるべき交流や意思疎通が可能な日が来たら、表現の制約を外し、恐れずに飛び込みたいという気持ちもある」
リュ・スンボムが映画全体の70%以上に登場、さまざまな姿を見せてくれる『怪しい顧客たち』は、彼自身にとって「世の中」と「人々」にもう一歩近づかせてくれたありがたい作品でもある。
かつて野球選手を夢見た保険プランナーのペ・ビョンウ(リュ・スンボム)が、顧客の自殺をほう助したという疑いをかけられ、自殺しようとする「危険な顧客」たちを探しに出るというストーリーのこの作品は、生きることに疲れた家計を支える歌手志望の少女、妻子を海外に移住・留学させ仕送りを続ける男、チック症の青年、子ども4人と苦しい生活を送っている女性など、それぞれの状況で自殺を考える人々のエピソードを盛り込んだ。
特に注目すべきは、主人公ペ・ビョンウがひたすら「年収10億ウォン(約7600万円)」を目指す自己中心的な性格から、多くの人々とぶつかり合いながら変わっていく過程を、時にはコミカルに、時には涙するように描写したところだ。
edaily/朝鮮日報日本語版
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