韓国の塀は昔から、造形的な目的が大きかったため、それほど高くはせず、周りの景観に合わせて、温和さや上品さを演出した。家屋の壁や塀を美しく飾ることを「模様を置く」と呼び、そうして美しく飾られた壁や塀をひっくるめて「花塀」と呼んだ。
朝鮮王朝の王が住んでいた景福宮には、華やかな気風を感じさせる花塀がある。王妃や皇太后が居住していた交泰殿や慈慶殿の花塀は、韓国で最も美しい花塀の一つに数えられている。..
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韓国の塀は昔から、造形的な目的が大きかったため、それほど高くはせず、周りの景観に合わせて、温和さや上品さを演出した。家屋の壁や塀を美しく飾ることを「模様を置く」と呼び、そうして美しく飾られた壁や塀をひっくるめて「花塀」と呼んだ。
朝鮮王朝の王が住んでいた景福宮には、華やかな気風を感じさせる花塀がある。王妃や皇太后が居住していた交泰殿や慈慶殿の花塀は、韓国で最も美しい花塀の一つに数えられている。花塀は門や屋根、煙突の周囲のものがより美しいが、王妃の寝殿だった交泰殿の裏庭に建てられた六角形の煙突は、美しい模様があしらわれ、内側の花塀も庭園と見事にマッチしている。また、慈慶殿の西側の花塀は、梅や桃、牡丹、ザクロなどの花とチョウ、菊の花や竹など、さまざまな紋様が描かれており、塀の形に合わせて花の紋様があしわられている。また、年老いた皇太后のために、オンドル部屋が多くつくられた慈慶殿には、十長生(不老不死を象徴する、太陽・山・水・石・雲・松・不老草・亀・鶴・鹿の10種類)が描かれた煙突が、まるで一つの造形作品のような美しさを見せている。
洗練された美しさを見せながらも、決して派手ではない王宮の花塀のほかにも、塀の高さや模様によって住人の品格を表わした士大夫(朝鮮王朝時代の官僚)の家の花塀、瓦のかけらを土塀にはめ込んだ、情感あふれる田舎の家の花塀など、豊作と幸せを願ってつくられた韓国伝統の美しい花塀に、あちこちで出会うことができる。
文_ ペ・ムンギョン 写真_ チョン・イクファン
atti/朝鮮日報日本語版
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