旧暦5月 5日は韓国の「端午の節句」。残念なことに、最近は旧正月や秋夕(チュソク=中秋節)のように大きな年中行事として過ごす風習はなくなってしまったが、かつては田植えを終えた後、豊作を祈る祭として盛大に行われた。その由来は、中国が楚と呼ばれていたころ、懐王の時代に、忠臣・屈原(紀元前340年ころ-同278年ころ)が自らの意思を示すため、汨羅江(べきらこう)に身を投じ、命を断ったことににあるという..
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旧暦5月 5日は韓国の「端午の節句」。残念なことに、最近は旧正月や秋夕(チュソク=中秋節)のように大きな年中行事として過ごす風習はなくなってしまったが、かつては田植えを終えた後、豊作を祈る祭として盛大に行われた。その由来は、中国が楚と呼ばれていたころ、懐王の時代に、忠臣・屈原(紀元前340年ころ-同278年ころ)が自らの意思を示すため、汨羅江(べきらこう)に身を投じ、命を断ったことににあるという。その後、彼を称えるための祭祀(さいし)が始まり、それが5月5日に行われたという。供え物をスレ(浅瀬)に投げ入れたことから、「スリンナル」とも言われる。
端午の節句になると、老若男女がこぞって新しい服に着替え、楽しく遊んだ。女たちはしょうぶ湯で髪を洗い、かんざしを挿してクネ(ブランコ)遊びをした。男たちはシルム(韓国相撲)で力比べをして楽しみ、王は臣下たちに「端午扇」といううちわをプレゼントしたという。両班(官僚階級)の家では、赤いユスラウメの実の「花菜(甘く冷たい汁に果物や木の実を入れたスイーツ)」、ユスラウメのもち、「チュンピョン」を備え、祭祀を行った。このほかにも、ヨモギをすって米粉に混ぜ、草もちにした後、水車の型を当てて模様を付けた「スリチュイもち」や、鳥肉と「ニベ」という魚で作った「オアル湯」、小骨が多く食べづらいが、味は最高という「ヒラ」という魚の肉で作った「ジュンチギョーザ」、白ミツ・ビャクダン香・草菓の粉などをハチミツに入れ、冷水を注ぎ飲む韓方の飲み物「醍醐湯」も好まれた。このうち、「チュンピョン」は今でもよく食べられる。別名「キジュンもち」「ポンゴジもち」「キジュもち」とも呼ばれる韓国独特のもちで、米粉にマッコリ(韓国の濁り酒)を入れて発酵させた後、クリ・ナツメ・松の実・黒ゴマ・イワタケ・菊の花びらなどを載せ、蒸して作る。マッコリの香りと、甘みとかすかな酸味が特徴。涼しげで消化がよく、日持ちもするので、主に夏によく作られる。
江陵端午祭
江陵端午祭は、江原道江陵市が主催する地元の祭で、2005年11月25日に世界遺産に登録された。祭期間中は、クネ・シルム・綱引き・壷投げ(投壷=とうこ)など、さまざまな韓国伝統芸能の催しが楽しめる。また、韓国最大規模の市場が開かれ、地方の特産物や手工業品も各地から集まる。今年の端午祭は5月18日から6月19日までの約1カ月間。詳細は公式サイト(www.danojefestival.or.kr)の日本語ページへどうぞ。
文_ キム・スン 写真_ チョン・イクファン
atti/朝鮮日報日本語版
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