ここは乙支路3街。
パイプ、電線、工業用の機械などが並ぶ狭い裏通りに、知る人ぞ知る隠れた名店「アンソンジプ」がある。
知人があまりにも褒めるので半信半疑でついて行ってみた。もとはもっと狭く古い、この街に相応しい(?)雰囲気の店だったが、火事が起こり新しく増築したという。以前の姿を見ることができないのは残念だが、この場所に数十年間店を構えているということだけで信頼に値する(1957年という..
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ここは乙支路3街。
パイプ、電線、工業用の機械などが並ぶ狭い裏通りに、知る人ぞ知る隠れた名店「アンソンジプ」がある。
知人があまりにも褒めるので半信半疑でついて行ってみた。もとはもっと狭く古い、この街に相応しい(?)雰囲気の店だったが、火事が起こり新しく増築したという。以前の姿を見ることができないのは残念だが、この場所に数十年間店を構えているということだけで信頼に値する(1957年という数字は社長が食堂の仕事を始めた年度。アンソンジプは30年以上昔からあるとのこと)
内部は普通の食堂とほとんど変わらない平凡なつくりだ。2階には座敷があり、団体客でも利用可能だ。
素朴な女主人のキムチの腕がそのまま発揮されているトンチミ(汁の多い白キムチ)。
冷たいキムチ甕から今取り出したばかりのように、半分凍った状態のトンチミの大根はまさに“芸術”としかいいようがない。
この店のもうひとつの魅力はこのポッサムキムチ。牡蠣をたっぷり使い、松の実とピーナッツが入っているのが特徴。ピリッとした辛さが食欲を誘う。
しっかりと骨のついた豚カルビ。
カルビの質は焼いてみると分かる。ジュージューと脂がにじみ出てくるこの店のカルビは間違いなく本物だ。
500グラムに1万7000ウォン。市中ではカルビ180グラム、200グラムを9000ウォン台で売っていることを考えればあまりにも安い値段だ。
麻浦の有名なカルビ店や昔泰陵一帯にあったカルビ店、新村の幾つかの有名カルビ店は一様に「甘い味付け」であるが、この店の豚カルビは甘さ控えめ。そこがまた良い。
肉はコリコリしている程に新鮮だ。薄い味付けで肉の質が良く、タレに長い間漬けっ放しになっている他の店とは全く違うことがすぐに分かる。
牛のカルビは1本1万5000ウォン。場所が場所だけに値段を高くすることはできない。カルビ1本で4万6000ウォンもする店もあるのだから、庶民にとってはありがたいばかりの値段だ。
焼き網の端から端まで続く、このカルビ1本の景観を見よ!
チョロチョロと肉のついたイドンカルビや、カルビの骨に別の部位の肉をグルグル巻きつけ、焼き網の上で見せかけだけの骨を抜き取る大型カルビ店のずる賢い手口を見慣れた普通の人々にとって、このような立派なカルビはため息ものだ。
カルビのタレにニンニクを入れ、グツグツ煮て食べるのがこの店だけの特別な味。ニンニクがホクホクして美味。
見ただけでご飯が食べたくなるユッケジャン(牛肉と各種野菜を入れ煮込んだ辛いスープ)。酔った体に染み渡るような美味さだ。それも鍋ごと炭火の上に乗せ、つまみ代わりに飲む。なんとこれはサービス。
この日のハイライトは水冷麺!
この店の水冷麺のどこが特別か?本当にただの冷麺ではないのだ。カルククス冷麺なのだ。カルククスに使う麺を水冷麺に使うとはなんと大胆な発想。スープは牛の骨と肉で出汁を取ったもので、有名な冷麺店にも劣らない味わい。冷麺だけでも有名店になれそうだ。
おもしろいのは趣向によって水冷麺に入れる麺を選択できるということ。
「すみませ~ん、冷麺の麺は素麺でお願いします」
「私はカルククスで」
「僕は普通の冷麺の麺にします」などなど・・・。
さっぱりしてコクのあるスープにシコシコしたカルククスの少々太い麺がばっちり良く合う。もちろん普通の冷麺の麺も美味しい。ビビン冷麺(コチュジャンソースで和えた冷麺)がまた特別美味いと評判だったが、残念ながら満腹で食べられなかった。
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