写真提供=ネクスト・ユナイテッド

 【NEWSIS】「魔王」と呼ばれた歌手シン・ヘチョルさん(1968-2014年)が亡くなってから、10月27日で11年たった。医療事故により、46歳の若さであっけなくこの世を去ってしまったが、シン・へチョルさんの文化的な遺産は今も受け継がれている。 シン・へチョルさんは1988年、ロックバンド「無限軌道」のメンバーとしてMBCの音楽番組『大学歌謡祭』に出場して「君に」という曲で優勝し、デビューした。歌手ソ・テジも尊敬しているというシン・ヘチョルさんは、時代の先を行くミュージシャンだった。ソ・テジは1990年代初め、シン・ヘチョルさんからサンプラーという音楽機材の使い方を教わったという。【写真】
故シン・へチョルさん追悼ベンチ除幕式

 シン・へチョルさんと親しかった歌手PSY(サイ)は、自分のコンサート「びしょぬれショー」などでシン・へチョルさんにささげる曲「DREAM」を歌い続けている。シン・へチョルさんの死から10年目を迎えた昨年には、歌手仲間や先輩・後輩ミュージシャンたちが大勢参加し、追悼コンサートを開催した。 シン・へチョルさんが時代のアイコンとして位置付けられるようになったのは、歌謡界だけでなく、社会・政界にまで影響力を及ぼしたからだ。2001年から深夜のラジオ番組『ゴースト・ステーション』のDJを務め、その大胆で思い切った発言により「魔王」と呼ばれるようになった。また、西江大学哲学科に在学していた(その後中退)ということで、「エリート・ミュージシャン」として注目された。 政治的な発言や行動もためらわず、社会に批判的なことを思い切って言い放ち、「毒舌」としても知られていた。社会を意味する「society」と芸能人を指す「entertainer」を合わせてつくられた新造語「ソーシャルテイナー」の元祖と言える。時事教養番組『100分討論』(MBC)にも何度か出演し、大麻の非犯罪化、姦通罪反対、体罰禁止などについて声を上げた。 シン・へチョルさんの子どもシン・ハヨンさんとシン・ドンウォンさんは、13年ぶりに復活し前日放送された『2025 MBC大学歌謡祭-青春を灯す』で、バンドLUCYとともに「君に」を再解釈した。 城南市長時代にシン・へチョルさんの音楽作業室があった城南市内に「シン・へチョル通り」を造成した李在明(イ・ジェミョン)大統領は前日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で故人について「時代の音楽家であり良心だったシン・ヘチョルさんは、若者たちには『考える力』を、中高年には『省察する勇気』を悟らせてくれた象徴的な存在」と紹介した。

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