【ソウル聯合ニュース】新型コロナウイルスの流行が長期化する中、韓国で映画館がK―POPグループの「第2のステージ」として台頭している。各館はコンサートの模様を生中継するライブビューイングを実施したり、アイドルの活動を収めた映画を上映したりしてファンを誘い込んでいる。K―POPと映画館の連携は映画館とアーティスト、ファンの皆にとって有益であることから、業界ではコロナ後もこうしたトレンドが継続すると見込んでいる。

▲ロッテシネマで行われたBTSコンサートのライブビューイング(ロッテカルチャーワークス提供)=(聯合ニュース)

 最近、映画館でのコンテンツ上映で最も大きな成果を上げたケースが男性グループBTS(防弾少年団)のライブビューイングだ。

 BTSが2年半ぶりにソウルで開いたコンサート「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE―SEOUL」の2日目の公演は、映画館大手のCGVやロッテシネマ、メガボックスなどで生中継され、約5万枚のチケットは瞬く間に売れた。このライブビューイングは韓国だけでなく世界75カ国・地域の映画館3711カ所で実施され、興行収入はおよそ403億ウォン(約40億円)を記録した。

 BTSのほかにも、映画館では男性グループNCTの派生ユニットのNCT 127、男性グループEXO(エクソ)のカイ、男性グループSHINee(シャイニー)のキー、女性グループBrave Girls(ブレイブガールズ)など、さまざまなアーティストの公演のライブビューイングが行われた。

▲BTSコンサートのライブビューイングを見に来た人々(資料写真)=(聯合ニュース)

 アイドルの活動の様子を追ったドキュメンタリー映画も続々と公開されている。

 韓国だけでなく米国や中国、日本でも大きな人気を集める男性グループのSEVENTEEN(セブンティーン)は、初の映画「SEVENTEEN POWER OF LOVE:THE MOVIE」の封切りを控える。昨年11月のオンラインコンサートのステージを再構成し、舞台裏やメンバーのインタビューを収めた映画で、4月20日の韓国公開を皮切りに北米、日本など全世界で公開される。

 アイドルが出演する映画コンテンツは新型コロナの流行以降、ますます増えている。

 昨年上映された女性グループBLACKPINK(ブラックピンク)のデビュー5周年記念映画「BLACKPINK THE MOVIE」は、世界で50万人を超える観客を動員した。

▲映画「SEVENTEEN POWER OF LOVE:THE MOVIE」のポスター(所属事務所提供)=(聯合ニュース)

 また、女性グループのApink(エーピンク)やMAMAMOO(ママム)、IZ*ONE(アイズワン)、男性グループのMONSTA X(モンスタエックス)、NCTなどが映画を公開し、韓国国内だけで多い場合は約4万人の観客を集めた。

 映画館でK―POPコンテンツの上映が増えているのは、映画館とアーティスト、ファンの3者にそろって実利があるためだ。

 新型コロナの流行以降、観客数が3分の1に落ち込み低迷していた映画館にとっては、ある程度の観客が見込めるK―POPコンテンツを上映することで収益を得られる。

 アーティストと所属事務所にとっても、コンサート会場の収容人数が限られている中で映画館はプラスアルファの収益をもたらしてくれる存在だ。

 現在、新型コロナの感染対策として、公演施設は収容人数の50%まで、未登録の公演施設は4000人までに観客数が制限されている。会場のチケット販売だけでは微々たる収益にしかならないため、芸能事務所は映画館でのライブビューイングやオンライン配信などでこれを補う戦略を取っている。

 また、ドキュメンタリー映画はより新しいコンテンツをファンに見せると同時に、アーティストの活動が少ない時期にファンとアーティストのつながりを維持するというメリットがある。

 新型コロナ禍が収まり公演活動などが正常化した後も、映画館を活用したK―POPコンテンツの上映は続くとの見方もある。

 ある芸能事務所の関係者は「流行の初期にライブビューイングやオンライン配信が有観客コンサートの代わりをなす『代替財』の役割を果たしていたとすれば、今は互いに補い合う『補完財』になっている」と述べ、「とりわけ世界各地で何度も公演できない場合、映画館とオンラインは重要な機能を果たすだろう」と見込んだ。

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