▲米の人気トーク番組『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』に出演して新曲『Butter』を披露するBTS。写真=聯合ニュース

 「私は、歌はBTS(防弾少年団)よりBIGBANGの方がいいと思う」

 「それは君がBIGBANG世代だからだよ」

 先日、夜の席で友人と交わした会話だ。MZ世代(1980年代初めから2000年代初めに生まれた世代)の終わりの方の友人は、BTSの「life is dynamite(人生はダイナマイト)」という歌詞より2006年にデビューしたBIGBANGの「I’m so sorry but I love you(ごめん、でも愛してる)/すべてウソさ)」という歌詞の方に親しみが持てる。もっと率直に言えば、筆者が中学生の時に好きだった男性アイドルグループH.O.Tの「ただ君を愛しる/そう言った」という歌詞を聞いた時、体が反応する。

 人間の五感の中で最も敏感なのは聴覚だ。米国の神経科学学者セス・ホロヴィッツ博士は著書『音の科学』に「聴覚の方が視覚よりも原始的な感覚だ」と書いた。私たちは嫌なものを見ることよりも、聞きたくない音を聞き続ける時の方がつらい。それだけ耳の方が保守的だということだ。

 大衆音楽界では一般的に、学生時代に聞いた音楽の好みが一生続くと考えられている。自分が小さいころの「オッパ(あこがれの男性スター)」は年を取ってディナーショーをしても「オッパ」だ。韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が米アカデミー賞で4冠に輝いたと聞けばポン・ジュノ監督が好きでなくても作品を見るが、歌に関しては、いくらBTSの『Dynamite(ダイナマイト)』が米ビルボードで1位になったと聞いても、聞かない人はずっと聞かない。大衆音楽は評論家たちもポップス・カントリー・ヒップホップ・歌謡曲など分野が分かれている。

 こうした人間の本能的な面から見て、BTSが先日の米音楽賞「ビルボード・ミュージック・アワード(BBMA)」で4冠に輝いたのは意義深い。BTSの人気に関してはこれまで、その実体をめぐりさまざまな説が飛び交っていた。この分野について取材をするたび、「本当に実体がある人気なのか」と何度も質問された。今回の受賞は、その実体を示すものだ。実感がないからだろう。歌手が大勢いる米国で、韓国人歌手にこれほどまでに熱狂するなんて。

 世界の大衆文化市場は米国と英国が主導しているが、ほかの国にもチャンスが来た時があった。1970-80年代には香港映画ブームがあったし、それ以降は日本文化ブームがあった。今は韓国だ。映画や音楽など、あらゆる分野で韓国文化が主流となっている。BTSに魅了された人々は別の韓国の男性アイドルグループSEVEVTEENも好きだ。彼らは常に新しいK-POPを追求しようとしている。

 今後、政府はどのようにすべきだろうか? 何もしなくていい。下手に前に出たり、便乗しようとしたりすれば、かえってK-POPをだめにする。K-POPの人気に便乗して、急ごしらえした歌さえ出さなければいい。BTSのメンバー、SUGA(シュガ)は先日の記者懇談会で、「大衆が望む音楽をやるため努力し、素晴らしいステージをお見せするため練習するだけ」と語った。

 このほど、10年ぶりとなる8thアルバムをリリースした歌手ソン・シギョンは言った。 「K-POPは、自然に生まれたから愛されているんです。芸能事務所や企画会社が一生懸命やって成功したのに、まるで韓国が企画したかのように自慢するのを見ると、少し違和感があります。『こういう役割を果たしている音楽はありがたい』という考え方が良さそうです」

イ・ヘウン記者

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