人気料理研究家でイタリア料理店「ソルト」を営むホン・シネさん(45)が最近、『みんなのトッポッキ(餅の唐辛子みそ炒め)』(おいしい書店)を出版した。「トッポッキの料理本を出すと言ったら、周囲の人たちが『テーマが軽すぎるんじゃないの』と言っていました。私は、トッポッキは料理じゃないなんて考えたことは一度もないけれど。平凡さを超え、さまざまなバリエーションが可能な、潜在力が無限な料理がまさにトッポッキなんです」
◆最もトッポッキが食べたくなるのはいつ?

 ホン・シネさんはトッポッキ愛好家だ。「番組のために人気の食堂を訪ねて全国をめぐったけれど、有名店を訪れた後には近くのトッポッキの名店に行って試食しました。不思議なことに、どの地域にも特徴あるトッポッキの名店が存在するんですよ」。そうして訪れたトッポッキ店の中から特にお気に入りの4カ所を何とか絞り出した。「私の40年の人生における名コンビ・トッポッキを思う存分楽しんでください」(笑)

◆グリーンの銀盆

 「ここはトッポッキを銀の盆(トレイ)に入れて出してくれます。必ずミニのり巻きと一緒に食べなければなりません。スンデ(豚の腸詰め)もすごくおいしいです。トッポッキを食べて店を出たら、横に少し行くとパン屋があるのですが、そこで生ドーナツと牛乳を味わい、スーパーマーケットに行ってハードバーを買って食べれば、3段コンボ・コース料理の完成です!」

 それほどトッポッキの汁の味が卓越している。相当な努力と時間を費やしたのだろう。圧力釜でサツマイモを蒸し、再び電気釜に入れてゴマを加えた後、塩を振ってもう一度蒸す。サツマイモをつぶして弱火にかけ、サツマイモのりをつくり、すりゴマを混ぜる。これに粉唐辛子を加えて熟成させる。こうして完成したたれに餅を入れて混ぜ、3時間熟成させる。トッポッキの汁と餅がまさに渾然一体となる。ホン・シネさんをはじめ、多くのトッポッキ・マニアたちが「人生最高のトッポッキ」に挙げるだけのことはある。

◆ルビートッポッキ

 ソウル市江南区狎鴎亭洞のロデオ通りでフードトラックから出発し、立派な店へと成長した。アイドルグループのメンバーなど芸能人がよく訪れる店としても知られている。セウカン(韓国版えびせん)トッポッキは小さな川エビを揚げてのせているが、サクサクのエビとピリッと辛いトッポッキの汁の調和が幻想的だ。

◆スーパーパン

 ソウル市竜山区二村洞の名店として名高い「スーパーパン」が少し前、漢江を渡って江南区新沙洞に移転した。「洗練されたソウルのママが用意してくれるおうちごはん」という基礎はそのままだが、ワインや伝統酒など酒とともに楽しむのにピッタリの料理が追加された。「油トッポッキ」は昔母親たちがしょう油だれに牛肉を入れてつくってくれたトッポッキを思わせると同時に、高級レストランの料理の洗練された雰囲気も楽しめる。

◆おいしい粉食

 「友人と魚を見るため済州道に行ったとき台風で足止めされ、2泊3日の間、宿泊先でラーメンをつくって食べていたが、脱出して食べたトッポッキです。太くてやわらかい餅の食感がまだ忘れられません。いつもかなり酔っぱらっている社長さんと忙しく動いている奥さん、娘さんたちの笑い声があふれる店です。海を眺めながら食べることができ、眺望まで逸品です」

 分厚いイカの天ぷら、サクサクの唐辛子の天ぷら、すっきりした煮干しだしの麺、ピリ辛の混ぜ麺、どれもすばらしい。済州市の細花民俗五日市場にある。市場が開く5日、10日だけ営業する。

キム・ソンユン記者

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