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【寄稿】BTS・「キングダム」「愛の不時着」…コロナは韓国の文化コンテンツ産業にとっては機会だ
コロナ19で韓国人の日常の大部分が非対面文化に変わった。文化コンテンツ産業も非対面で成り立つオンライン・コンテンツが強い。危機はチャンスだった。このところ、韓国人は毎日奇跡を目撃している。防弾少年団(BTS)のオンライン公演で同時視聴アクセス数が新記録を更新し、ビルボードの年末決算7部門を席巻した。オンライン動画サービスにより世界のどこででも容易に見られるようになった韓国ドラマも、連日話題になっている。『キングダム』『愛の不時着』『秘密の森』は香港・シンガポール・ベトナム・日本などで旋風のような人気を集めた。
韓国文化の世界的な人気は、韓国語への関心につながった。とりわけ、韓国由来の「モクパン(Mukbang。食べる放送。ネットのグルメ配信)」は、英国の著名な辞書出版社「コリンズ」が選ぶ「昨年の単語」にも選定された。コロナ19で疲れている世界の人々が、韓国の文化コンテンツを通して慰められ、活気を得ている今、まさに新韓流の熱風が吹いている。
ゲーム産業も非対面時代を先導する核心に挙げられ、注目すべき成長を見せている。昨年、韓国国民のゲーム利用率は70.5%に達している。国内上場企業を基準とすると、昨年第1-第3四半期の累積売り上げは7兆6000億ウォン(現在のレートで約7100億円。以下同じ)で前年比23%増となり、営業利益は8900億ウォン(約840億円)から1兆5000億ウォン(約1400億円)と実に74%も増えた。同じ期間に雇用率も4.3%上昇し、国家経済に大きく寄与した。海外上場企業や非上場企業の実績まで考慮すると、成果を表す数字はずっと大きいだろうと期待される。
韓国のゲーム業界には、また一つの吉報が生じた。ほぼ4年ぶりに、中国で韓国ゲームに対する版号(中国政府が発給する流通許可券)が発給されたのだ。40兆ウォン(約3兆8000億円)を超える世界最大のゲーム市場の門が再び開かれたことで、韓国のゲーム各社の士気は高まっている。歓迎すべきことだ。これを契機として今後、他の韓国ゲームも中国市場に進出する機会が生じ、両国間の文化コンテンツ分野の協力も強化されることを望む。今年上半期には、韓中日eスポーツ大会が開催される予定だ。初めて開かれるeスポーツ分野の国別対抗戦なので、各国のeスポーツ関係者やゲームユーザーらがかける期待は大きい。
ゲーム産業だけではない。世界的な変化に歩調を合わせ、韓国政府は非対面時代の文化産業成長を続けるためのさまざまな努力を続けている。こうした努力の基礎として、これまで韓国の文化コンテンツが見せてくれた成果が大きな力になった。これは危機の前でより一層輝く韓国国民の力のおかげだ。
最近、韓国政府の2021年度予算が確定した。コンテンツ産業とメディア分野の予算は9643億ウォン(約905億円)で、昨年よりおよそ5.8%増額された。コロナ19により沈滞するコンテンツ産業に活力を吹き込み、全ての領域で先を争うように進められているデジタル革新を支援することに力点を置いて編成された。体感技術と人工知能技術を接ぎ木した次世代コンテンツ市場を先んじて占めるため、ポップミュージック、ゲームなどさまざまな分野で新たな支援事業が整備される予定だ。
残念ながら、コロナ19は人と人の間を遠ざけた。これまで韓国人が自然と享受してきた幸せとも隔たりができた。遠ざかる距離と時間の分だけ、幸せの基準もまた変わった。人と人の直接的な対面や交流を通してわれわれが得ていた幸せは、よりにもよってわれわれが生きる上で最大の脅威になってしまった。
だがわれわれは依然として共にある。たとえオンライン公演であってもBTSと共に歌い、ドラマの中の物語に共に泣き、笑う。ゲームを通して世界の人々と対話し、勝敗を競う緊張感の中でもユーモアを失わない。新韓流のブーム、その真の力はコロナ19時代においても絶望しない韓国国民だ。