米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」で、「ヒップホップ界の王子」トラヴィス・スコットが仲間のラッパーのヤング・サグ、M.I.A.を迎えて出した『フランチャイズ(FRANCHISE)』が、BTS(防弾少年団)の『ダイナマイト(Dynamite)』を抑えてトップに立った。

 ビルボードは5日(現地時間)、トラヴィスが先月25日にリリースした『フランチャイズ』が1940万ストリーミング、9万8000枚の音源・CD販売などで初週に「ホットショット」デビューをしたと明らかにした。『ダイナマイト』は2位で、6週連続で最上位圏をキープした。これまでBTSと1位をめぐって争っていたカーディBとメーガン・ジー・スタリオン(Cardi B feat. Megan Thee Stallion)の『WAP』は3位に下がった。米映画界より保守的だと言われているポップス界で、トップの座をめぐり黒人文化圏とアジア文化圏が競い合っている構図だ。

 トラヴィスは1992年に米テキサス州ヒューストンで生まれた。テキサス大学中退後、ニューヨークとロサンゼルスを行き来しながら音楽活動をしていたが、このほど大統領選挙出馬を宣言したヒップホップ界のスター、カニエ・ウェストの目にとまり、スターの座を駆け上がった。カニエはトラヴィスに初めて会った時、ファストフード「タコベル(TACO BELL)」のタコスをおごってくれたが、タコスの中のサワークリームが食べられないトラヴィスはカニエの印象を良くしようと無理やり食べたという有名なエピソードがある。カニエの妻キム・カーダシアンの異父妹カイリー・ジェンナーと結婚して女の子が生まれたが、離婚した。

 今回の新曲『フランチャイズ』はトラヴィスの上の世代の黒人文化に対する敬意がにじみ出ている。米南部ヒップホップ界の強者「デム・フランチャイズ・ボーイズ(Dem Franchize Boyz)」の『ホワイトティー(White Tee)」に敬意を表した曲で、ミュージックビデオの冒頭はマイケル・ジョーダンのドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』のシーンだ。トラヴィスが映画『TENET テネット』のオリジナルサウンドトラック(OST)に参加して縁を結んだクリストファー・ノーラン監督がミュージックビデオ制作に関与しているという。昨年ナイキとコラボして発売したスニーカー「トラヴィス・スコット・ジョーダン1」は通常価格よりも10倍高い価格で転売され、先月マクドナルドとコラボした「トラヴィス・スコット・ミール」は一部店舗で完売するなど、現在最も人気の歌手だ。マクドナルドが有名人の名前をつけてセットを出したのは、マイケル・ジョーダン以来28年ぶりのことだ。

 最近ビルボードで白人歌手たちが力を発揮できていないのは、白人が主流だった米国が多文化社会に変わったからだけでではなく、黒人文化の神髄であるヒップホップが米国の大衆音楽の主流になったからだと分析されている。ビルボードは先日、メインチャートでポップ、ロック、EDMといった白人たちが強いジャンルは以前よりチャート成績が悪いとして、「ヒップホップ以外はすべて難しい」という分析記事を出した。大衆音楽評論家のイ・デファ氏は「ヒップホップはクールでトレンディでイケているというイメージから、ユニークなスターたちが多く輩出され、注目度の面でもリードしているようだ。ヒップホップの攻撃的な面に共感できない人々がその代案としてK-POPを求めているため、ビルボードチャートで『ヒップホップVS K-POP』『黒人文化圏VSアジア文化圏」の対決が続きそうだ」と語った。

◆世界競争力ランキング1位はシンガポール、韓国23位、日本は?

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