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岩壁の間に水の流れ、海と出会い虹を咲かせる「正房の滝」
「泣かないでください/帰る場所があるでしょう(中略)泣かないでください/行っても行っても西側のあなた…」
詩人イ・ホンソプの詩「西帰浦」の一節だ。詩人は江原道出身だが、西へ帰ったという意味に解釈される西帰浦の情緒を見通してみた。その済州・西帰浦の中心に正房の滝がある。中国の始皇帝が不老不死の妙薬を探してくるよう命じると、これを見つけるため漢拏山に住むという神仙を探してやって来た徐福(徐市)という臣下が正房の滝を見て、絶壁に「徐市がここを通過する」という意味の文字を刻んでいった。そのおかげで西帰浦という地名が生まれたという話がある。
正房の滝は、滝の水が直接海に落ちる、東洋唯一の海岸瀑布で、世界的にも珍しい地形だ。数年前には台風が来たとき、強風により滝の水がさかのぼるような様子が見られ、話題を呼んだ。そのため、むしろ梅雨の時期に鑑賞するべき名所とも言われる。
正房の滝は天地淵の滝、天帝淵の滝と並んで済州道の3大滝の一つとされる。高さ23メートル、幅10メートルだ。滝の両側の端に柱状節理が発達した垂直の岩壁があり、周辺には松の木が多い。近くにはムン島、ソプ島がある。