映画
新型コロナも止められない『パラサイト』熱…「韓日文化の共感、活発化願う」
ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホ、東京で記者会見…NHKなど約200人が取材
悪化している韓日関係や新型コロナウイルスも映画『パラサイト 半地下の家族』(以下、『パラサイト』)の人気を止めることができない。日曜日だった23日午後5時、日本記者クラブが東京プレスセンターで主催したポン・ジュノ監督と俳優ソン・ガンホの記者会見には、日本の報道関係者が約200人集まった。NHKをはじめとするテレビカメラマン20人以上は記者会見の2時間前からカメラの場所取りで競争を繰り広げた。
日本の報道機関は、『パラサイト』が今年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞を総なめにするや、同作品に登場する「チャパグリ」(インスタント・チャジャンめん「チャパゲッティ」とインスタント・ラーメン「ノグリ」を混ぜて作る即席めん。映画の日本語字幕では「ジャージャーラーメン」と表記)のレシピも紹介するほど大きな関心を寄せている。23日現在、『パラサイト』は日本で220万人が鑑賞し、興行収入30億円を突破、日本で公開された韓国映画で歴代興行成績1位になっている。
ポン・ジュノ監督は『パラサイト』が日本でも人気になっていることについて、「よく分からない。私の方がむしろお聞きしたい」と語った。そして、「全世界が格差の痛みを経験しており、将来に対して恐れを抱いている。私は悲観主義者ではないが、すべての不安や恐怖を素直に表現したかった」と言った。一方、ソン・ガンホはこの映画を「共生の映画」と定義付けた。「タイトルは『パラサイト』(寄生虫)だが、人はどのように生きるのがいいのかを描いているので、全世界が共感しているのだろう」と話した。
ポン・ジュノ監督が2006年に監督した映画『グエムル-漢江の怪物-』(以下、『グエムル』)について、「最近の新型コロナウイルスの感染拡大状況と似ているのでは」という質問もあった。ポン・ジュノ監督は「映画『グエムル』は存在しないウイルスの騒動を描いている。問題は、我々が作る恐怖の方がもっと大きいということだ」と指摘した上で、「あまりにも過度に対応して国家的・人種的な偏見を持ってはならない。近いうちに賢明さを取り戻すのではないかと希望を持っている」と語った。
日本の記者たちは、20年間にわたり共に活動している2人の関係性にも関心を示した。ポン・ジュノ監督はソン・ガンホについて「脚本を書く時、『この役はこの方(ソン・ガンホ)がやるだろう』と前提すると、草原を子馬が駆け回るように筆が進む」と言った。ソン・ガンホは「ポン・ジュノ監督は陰険で凶悪な天才監督だ。彼との仕事は祝福であり、苦痛の連続でもある」と答え、会場では笑いが巻き起こった。
2人はこのところ悪化している韓日関係を深く認識している様子も見せた。ソン・ガンホは「(『パラサイト』のヒットをきっかけに)今後、両国の文化共感がより活発になれば」と、ポン・ジュノ監督は「日本の映画界には長年の伝統があり、巨匠が大勢いる。日本のフィルム・メーカーたちの幅広い世界を常に興味深く見ている」と語った。
ポン・ジュノ監督は自身の目標については「恥ずかしいが、(映画史に残る)クラシックを作りたいというような妄想がある」と答えた。金綺泳(キム・ギヨン)監督の『下女』(1960年)、黒澤明監督の『七人の侍』(1954年)、アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』(1958年)を挙げたポン・ジュノ監督は「ヒットしたらいい、というような不純物に執着するより、映画のストーリーに集中したい」と語った。
東京=李河遠(イ・ハウォン)特派員