椿(韓国語で冬柏)は冬に咲く花という意味で付けられた名前で、主に海辺に咲くとして、中国では海紅花と呼ばれる。主に冬に咲くことから、昆虫が花粉を運ぶことができず、赤い花の色でメジロの目を引き、受粉を媒介してもらう(白い椿もある)。昔は椿の種子を絞ってつくった椿油で髪を整えた。朝鮮王朝時代には主に王室や士大夫宅の女性たちが使っていた。

 全羅南道麗水市の梧桐島、全羅北道コチャン郡の禅雲寺、釜山市の冬柏島が、よく知られている椿の名所だ。済州道では写真の西帰浦市の冬柏樹木園(入場料3000ウォン=約300円)、椿の英語名(カメリア)を取って付けた西帰浦市カメリア・ヒル(入場料5000ー8000ウォン〈約500ー800円〉)などが有名だ。椿の街路樹が印象的な村訪問者センター(西帰浦市南元邑ハンシン路531ギル22ー1)では食用椿油を使ったビビンバを味わえる(1万5000ウォン=約1500円)ほか、椿油を使って石けんをつくることができる(1万ウォン=約1000円)。ここは平日午前9時から午後5時までオープンしており、20人以上なら事前予約すれば週末にも利用することができる。

写真=木の枝に赤紫色の雪が降ったようだ。済州道西帰浦市にある冬柏樹木園が全景をドローンで撮影した。樹齢およそ40年の椿の木が樹木園内に500本ほどあり、写真のように群生した椿の木がおよそ260本ある。

 椿はいくつもの作品のテーマになってきた。金裕貞(キム・ユジョン)の小説『椿の花』に登場し、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『椿姫』ではヒロインのマルグリットが椿の花を身に着けていた。このオペラはフランスの作家アレクサンドル・デュマ・フィスの小説を基にしている。金裕貞が書いた小説の『椿の花』は、実はダンコウバイをさす江原道の方言だという話もある。

 椿は済州島四・三事件を追悼する際にも使われている。済州出身の画家カン・ ヨベの作品『椿散る』が1992年に登場してからだ。椿は花びらが1枚ずつ散るのではなく、花が丸ごと散るため、済州島四・三事件の犠牲者たちを象徴するのにぴったりだと言われている。済州道は、四・三事件70周年を迎えた2018年、椿追悼バッジを制作し、配布した。

 椿の花言葉は「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」だ。

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