少なくとも再上告審判決までは難しい模様

 兵役逃れのために韓国籍を放棄して米国籍を取得したために韓国入国が禁止されている歌手・俳優のスティーブ・ユー氏(42)=韓国名:ユ・スンジュン、写真=が韓国に入国する可能性が高くなった。ソウル高裁行政第10部(ハン・チャンフン裁判長)が15日、「韓国ビザ発給を拒否した政府の決定は違法だ」として、スティーブ・ユー氏が駐ロサンゼルス韓国総領事を相手取り起こした訴訟の破棄差し戻し審で、同氏の主張を認めたためだ。しかし、韓国外交部は「大法院に再上告する」との方針を明らかにしており、スティーブ・ユー氏は少なくとも再上告審判決が確定するまでは入国できない。

 スティーブ・ユー氏は兵役逃れのため2002年に韓国籍を放棄し、韓国法務部から入国を制限されている。だが、スティーブ・ユー氏は満38歳だった2015年9月、駐ロサンゼルス韓国総領事に在外同胞ビザ(F-4)で入国できるようにしてほしいと申請した。当時の在外同胞法は兵役逃れを目的に韓国籍を放棄した人でも、国益を害する恐れがない限り、満38歳になるとビザ発給が受けられるよう規定されていた。駐ロサンゼルス韓国総領事は、法務部が2002年にスティーブ・ユー氏の入国を禁止したという点を挙げてビザ発給を拒否し、ユさんは、訴訟を起こした。一審と二審は「同氏に対するビザ発給拒否は正当だ」との判決を下した。しかし、大法院は今年7月、「駐ロサンゼルス韓国総領事は法務部の指示ではなく、法に基づいてスティーブ・ユー氏のビザを発給するかどうか自主的に審査していなかったので違法だ」として審理をソウル高裁に差し戻した。

 法曹関係者の間では、「大法院が『ビザ発給拒否は不当だ』としたため、再上告しても破棄差し戻し審判決を確定させるだろう」との見方が多い。

 しかし、再上告審で「ビザ発給をせよ」という確定判決が出ても、同氏がすぐに韓国に入国するのは難しそうだ。法務部関係者は「今回の判決とは関係なく、政府がスティーブ・ユー氏の入国禁止措置を撤回しなければ、同氏が韓国に入国できない」と話す。この関係者は「今回の判決は、スティーブ・ユー氏のビザ発給禁止が正当かどうかが争点であって、法務部の入国禁止措置は別個だ」と言った。

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