【チョソン・ドットコム】ソウル・ワールドカップ競技場の近くに位置する「ハヌル公園」は、南山、漢江などソウルの風景を一望できる場所として有名だ。2002年にソウル市は、ごみの埋め立て地だった蘭芝島を4つのワールドカップ公園に生まれ変わらせることに成功した。そのうちの一つが、空(ハヌル)と触れ合う草原のようだとして名付けられた「ハヌル公園」だ。

 蘭芝駐車場とハヌル公園の間を運行する電気自動車に乗れば、すぐにハヌル公園の入口に到着する。正方形に造成されたハヌル公園の夏は、濃い緑色をした草で一杯だった。きたる10月には、ソウルの代表的な秋の公園文化祭に挙げられる「ハヌル公園ススキ祭り」が開かれるという。毎年10月に開かれるこの祭りは、特に夜景が美しく、一日およそ10万人が訪れるという。公園の散策路に沿って歩いていくと、横に伸びる小道の間からも美しい風景を見ることができる。ハヌル公園の各所を舞台に、人生最高の写真を残したい人々の行き来が絶えない理由はここにある。公園の端にある展望台からは、漢江やソウルの風景を一目で見下ろすことができる。

 現在はさまざまな動植物が生きていて、大勢の人が訪れる美しい公園だが、かつてのハヌル公園はハエとほこりと悪臭に覆われた場所だった。わずか30年前の時点でも、ごみが「空と触れ合う」、ソウルのゴミ埋め立て地だったからだ。ハヌル公園のもともとの名前は「蘭芝島ごみ埋め立て地」。ソウル市は1978年3月、漢江の岸辺に位置する蘭芝島でごみの埋め立てを始めた。85年12月、蘭芝島の低地一帯では埋め立てが完了したが、ほかの埋め立て地が見つからず、引き続き使用することになった。埋め立て量の超過が続いたことを受け、86年からは埋め立て地を2つに区分して立体埋め立てを始めた。93年3月にはもはや埋め立てが不可能という判断に至り、ごみの埋め立てを終了した。

 15年にわたり1000万ソウル市民のごみの埋め立て地としての役割を果たしたことで、蘭芝島には8.45トン・トラック1300万台分のごみが埋め立てられた。その結果、海抜98メートルという世界で最も高い「ごみの山」に変わった蘭芝島は、ハエ、ほこり、悪臭と、環境汚染の主犯たるメタンガスや浸出水が流れる不毛の地と化した。

 埋め立て終了3年後の96年からソウル市は蘭芝島の安定化事業を開始した。その結果、蘭芝島は2002年5月、4つの公園(平和の公園、ハヌル公園、ノウル公園、蘭芝川公園)からなるワールドカップ公園に生まれ変わることができた。ごみの埋め立て地から、年間980万人が訪れるソウルの代表的な都市再生空間に変化したのだ。

 ハヌル公園は、ソウル市が追求する都市再生の意味を示してくれるよいケースだ。ソウル市は、都市各所の使われていない空間を、再開発ではなく再生を通して変化させようとした。こうした親環境政策を通して、ハヌル公園のような成功した都市再生空間が誕生した。

 
 見捨てられた地・蘭芝島を蘇らせ、親環境的な公園へと新たに変化させるためのソウル市の努力は、環境再生とは何なのかを世界の人々に示している。ソウル市にとって、蘭芝島は環境破壊を無視した高度成長に対する反省であり、同時に環境再生に向けた挑戦と意思の実現だ。蘭芝島の変化に対する努力は、蘭芝島が完全な自然の一部に戻れるときまで続くだろう。

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