ドラマ
顔のしわにも魅力あり!? 主役を演じる中年俳優たち
キム・ビョンチョル、チェ・グィファ、キム・サンギョンなど…最近ドラマの主人公として急浮上
コメディーからシリアスまで、お墨付きの演技力に信頼感
誰が見てもイケメンではない。年齢は不惑を過ぎ、もうじき五十近い。しかしなぜか、いろいろわけありに見える瞳や少し寄ったしわから目が離せない。知らぬ間に引き込まれる彼らの魅力を、「アジェミ(アジョシ〈おじさん〉+美)」と言う。
中年俳優が続々とお茶の間を虜にしている。アイドル級のルックスを誇る20代俳優が主役を務めるドラマに欠かせない存在のごとく登場するというレベルではなく、堂々たる主人公だ。とぼけたコメディーからシリアスな演技に至るまで、熟練の中年俳優が重厚な魅力と年の功を視聴者に届けている。彼らの登場が、ドラマの素材を拡大する上で新たな活力要素になるだろうとの分析もある。
9月20日スタートのドラマ『安いです 千里馬マート』(tvN)は、俳優キム・ビョンチョル(45)が主人公。イ・ドンフィ(34)と息を合わせる。同タイトルのウェブ漫画を原作にしたこのドラマは、「千里馬マート」を蘇らせようとするエリート店長と、店をつぶそうとする社長の物語をコミカルに描き出す。とりわけ、社長でありながら店をつぶしてしまおうと考えている役のキム・ビョンチョルに関心が集中。2003年に映画『黄山ヶ原』でデビューしたキム・ビョンチョルは、およそ15年にわたって野球の審判、容疑者、宅配運転手など、助演として広く顔を知られてきた。昨年末からドラマ『SKYキャッスル』(JTBC)や『ドクター・プリズナー』(KBS)で主役級の演技を披露して好評を博し、今回の作品ではメーンキャラクターを務め、本格的な「キム・ビョンチョル時代」の始まりを告げた。
ドラマ『走る調査官』(OCN)のチェ・グィファ(41)も、40代になってから主演として輝きを放ち始めた俳優。チェ・グィファは9月18日スタートの今回のドラマで、国家人権増進委員会の熱血調査官ペ・ホンテ役を演じる。同僚イ・ヨウォン(39)と共にツートップでストーリーを引っ張っていく。端役や助演として演技を続け、今年は映画『ロング・リブ・ザ・キング:木浦の英雄』や『道化師たち:風聞操作団』でメーンキャラクターを演じ、20年にわたる演技人生で最も重みある役を務めた。悔しい思いをしている人々のため孤軍奮闘し、深みのある笑いと感動を届ける予定だ。
「時代劇専門」とも言われるキム・サンギョン(47)の挑戦も期待を集めている。9月25日スタートのドラマ『チョンイル電子のミス・リー』(tvN)でGirl’s Dayのヘリ(25)と共演。危機にある中小企業をよみがえらせるため、社員に毒舌を飛ばすユ・ジヌク部長を演じる。2001年のドラマ『ホン・グギョン』(MBC)、2008年の『大王世宗』(KBS)、2016年の『チャン・ヨンシル-朝鮮伝説の科学者-』(KBS)など時代劇で謹厳な役を引き受けてきたキム・サンギョンが、22歳も年下のヘリとどのような演技を見せてくれるのか、気になるところだ。
このところ中年俳優がドラマの主人公として急浮上しているのは、安定感と新鮮さを与えることができるからだ、と分析される。長年の経験を通じて演技力はお墨付きの彼らが作品の前面に登場すれば、視聴者は番組全体に信頼を持てるというわけだ。最近終了した『ウォッチャー』(OCN)のハン・ソッキュ(54)や、現在放送中の『悪魔が君の名を呼ぶとき』(tvN)のパク・ソンウン(46)が主演として好評を博した理由がここにある。また、一部の若い俳優が主演を引き受ける状況から中高年へと俳優の幅が広がることは、視聴者の立場から考えても拒む理由はない。大衆文化評論家のファン・ジンミ氏は「典型的な主演俳優には期待できる演技が限られているが、生涯助演としてさまざまな役をこなしてきた俳優が主演として出てきたら、視聴者に新鮮な感覚を与えることができる」と語った。