北韓離脱住民定着支援事務所(ハナ院)は初伏(夏至後の3回目の庚〈かのえ〉の日)を迎え、教育生(脱北者)たちとともに、ソウル市冠岳区に居住する一人暮らしの高齢者や恵まれない人たちを対象に「タッコム分かち合いボランティア活動」を実施すると発表した。

 おそらく多くの人が何のことか分からず首をかしげるであろう「タッコム」について、統一部(省に相当)では参鶏湯(サムゲタン=丸鶏の中に韓方薬の材料やもち米を詰めたスープ)を意味する北朝鮮の言葉と説明している。標準国語大辞典でも、「タッコム」は「タッコムタン(鶏肉を煮込んだスープ)」と同じ言葉として登録されている。

 一方、ハナ院の教育生イさんは「故郷にいたとき、夏のスタミナ料理としてタッコムやトッキコムのようなものを家族と一緒に食べて元気を出した記憶があります。早く南北が統一し、北にいる両親と一緒にタッコムを食べられる日が来ればと思います」と語った。

 「タッコム」よりさらに耳慣れない「トッキコム」という言葉が登場したが、「タッコム」の正体を知っている人なら、トッキコムの正体も容易に想像つくだろう。標準国語大辞典によると、「トッキコム」は「ウサギの腹の中に肝臓や心臓、栗などを入れて煮込んだものを意味する北朝鮮の言葉で、強壮剤として使われるという。すなわち、「トッキコム」はウサギが主な材料で、参鶏湯のようなスタミナ食の一種と言えるだろう。

 「東医宝監」でウサギの肉は「性質は冷たく穏やかで味は辛く毒のない薬剤で、のどの渇きを癒し、脾臓を丈夫にするが、性質が冷ややかなためたくさん食べると元気をなくし、血脈が切れ、性欲が弱まり、顔が黄色くなってつやがなくなることがある」と書かれている。実際、ウサギの肉は脂肪が少なく、たんぱく質が豊富で、コレステロールが低く、高血圧、糖尿病、心血管疾患などの予防に効果的だという。

 「トッキコム」の作り方は、参鶏湯と似ている。韓国伝統知識ポータルでは「トッキコム」について、ウサギの腹の中に肝臓や心臓などをむき栗と一緒にたっぷり詰め、太い糸で縫って煮込み、肉とご飯を盛ってスープを注ぎ、塩で味を調えて食べる料理だと説明している。

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