グルメ
冷麺にからしはアリ? ナシ?
「ビビン冷麺(辛いたれであえた冷麺)を食べるのは冷麺に対する裏切りだ」。2016年6月、ケーブルテレビチャンネル「o’live TV」で放送されたあるグルメ番組に出演したラッパー、DinDinは自らを「平壌冷麺マニア」と紹介し、このように主張した。これが「冷麺は必ずこのように食べなければならない」と教える、いわゆる「麺スプレイン」論争の始まりとなった。「麺スプレイン」とは、「麺」と「explain(説明するの意)」を合わせた言葉。特に、平壌冷麺をめぐり「からしや酢を入れるのは味を知らない人」「麺をはさみで切って食べるのは野蛮な行為」「あっさりしたスープの味わい方を知らなければ、本当に冷麺の味を知っているとは言えない」などと指摘された。
このような「冷麺純粋派」によるかたくなな教えにひびが入り始めたのは、2018年4月に行われた南北平和協力祈願平壌公演の際、韓国の芸術団が玉流館で冷麺を食べるシーンがテレビで放送されてから。女性アイドルグループRed Velvetが玉流館で冷麺を食べるとき、従業員らが「酢をたっぷりかけて、からしも入れてください」とアドバイスしていたのだ。本紙記者が会った脱北者たちも、やはり「平壌冷麺を食べるのに規則があるわけではない」と話していた。国際ペンクラブ北朝鮮亡命作家ペンセンターのキム・ジョンエ理事長は「スープにからしを入れようが、酢をたっぷりかけようが、しょう油をたっぷりかけようが、とにかく自分の好みで楽しめばいいのではないか」とした上で「貴重な料理、思う存分食べるだけで忙しい」と語った。