韓国芸能事件簿
麻薬・性接待・暴力・脱税…映画よりひどい「バーニングサン」
クラブ「バーニングサン」は2018年初め、ソウル市江南区駅三洞にオープンした。アイドルグループ「BIGBANG」メンバーのV.I(28)=本名:イ・スンヒョン=がクラブの取締役であることが伝えられて有名になった。しかし、クラブが捜査対象になり、全国民の関心の的となったのは昨年12月からのことだ。
マスコミが暴行・麻薬・性犯罪・贈収賄疑惑を集中的に取り上げるや、警察は捜査官約70人を投入して捜査を始めた。「ドルイドキング」による大統領選挙世論操作事件の捜査に投入された警察官が約40人だったのと比べても、超大型捜査チームであることが分かる。ソウル市江南区にあるもう一つのクラブ「アリーナ」も麻薬や脱税などで捜査対象になった。
現在、バーニングサンやアリーナに関して警察が行っている捜査は大きく分けて5件ある。暴行・麻薬・性行為動画流布・公務員癒着(贈収賄)・脱税だ。きっかけは昨年11月にバーニングサンの前で起こった暴行事件だった。
その暴行事件とは、バーニングサンに客として行ったキム氏(28)が昨年12月、インターネット上に「11月にバーニングサンのセキュリティー要員から暴行を受けて警察に通報したが、警察が私に対して集団暴行した」という内容の書き込みを掲載して明らかになったものだ。このため、一部の番組がキム氏の主張を根拠に、警察がバーニングサンをかばったのではないかという疑惑を取りざたした。また、バーニングサン関係者の話として、「昨年7月にバーニングサンに未成年者が出入りしていたことを警察は把握したものの、江南警察署の一部警察官は金銭を受け取ってこれをもみ消した」と報道した。捜査主体の江南警察署が捜査対象になったため、警察側はソウル警察庁広域捜査隊を投入した。バーニングサンを家宅捜索し、元職員や現職員の金融関連記録を確保した。この過程で、バーニングサンのイ共同代表(46)が警察出身のカン氏(44)らを通じて警察官2人に230万ウォン(約23万円)を渡した容疑で立件された。この警察官2人は「金を受け取ったことはない」と否定している。
警察は、バーニングサン関係者らの麻薬使用疑惑も捜査している。すでに別の共同代表であるイ氏、営業スタッフ、常連客約10人が麻薬類管理法違反容疑で立件された。バーニングサンの従業員に近いアリーナの従業員2人も麻薬を使用した容疑で立件された。V.Iも警察で検査を受けたが、麻薬の反応は陰性だった。
バーニングサン問題が広がるや、今年2月初めには「バーニングサン動画」という動画がインターネットを通じて広がった。バーニングサンのVIPルームで一人の男性が女性を相手に性行為のような行動をする動画だ。インターネット上には、「女性はムルポン(GHB)に酔っているかのように反抗できずにいる」という主張が出ている。GHBとは飲料水で薄めると無色無臭で、飲むと記憶を失う麻薬物質だ。警察は7日、違法映像を撮影・流布した疑いでバーニングサンの従業員A氏を拘束した。
事件の余波はバーニングサンの外にも広がっている。あるメデイアは2月26日にV.Iが海外投資者に対して性接待をあっせんしたと思われる内容のメッセージアプリ「カカオトーク」のメッセージ内容を報道した。V.Iが性接待の場を用意しろと言った場所がアリーナだった。警察は10日、V.Iを売春あっせん容疑で立件し、出国禁止措置を取った。V.Iは11日、「あまりにも社会的に大きく物議を醸した」として芸能界引退を宣言した。
警察は現在、バーニングサンの脱税容疑も捜査している。昨年、元代表や現代表6人が150億ウォン(約15億円)を脱税した疑いで国税庁の税務調査を受けたアリーナも捜査対象になった。国税庁の税務調査からアリーナの実質的オーナーとして知られているカン氏が漏れていたという疑惑が捜査の核心だ。カン氏はソウルに少なくとも16の風俗店を他人名義で所有しているとされる。関連業界関係者の間では、「アリーナの不正に比べれば、バーニングサン(の不正)はほんのわずかだ」という声もある。バーニングサンよりも3年8カ月先にオープンしたアリーナは、その規模の面でバーニングサンを圧倒するということだ。
アリーナの脱税額を600億ウォン(約60億円)台と推定している警察は8日にソウル地方国税庁を家宅捜索し、国税庁職員を参考人として出頭させて事情聴取した。警察は押収したアリーナ会計帳簿から区庁・消防署職員に数百万ウォン(数十万円)が渡された記録も確保した。
これらのクラブの事件捜査をめぐり、警察内部では「世論の関心は高いが、容疑内容を考えると、警察から約70人がこの事件のためだけに捜査に当たるのは適切だと言えるだろうか」との指摘もある。しかし、「検察・警察の捜査権調整を控えている状況で、女性の関心が高い事案に消極的に対応したら大きな後遺症を伴うことになる」という反論が強かったとのことだ。