▲8月10日に対面したパク・ボヨンは「映画の主人公が観客に誤解されないようにするためには、私がいつもデリケートな感情の動きを逃さずつかんでおかないといけないと思った」と語った。白黒の碁石のようにはっきりした答えだった。/写真提供=K-FILM

 小柄だがはっきりと、そして生き生きしていた。女優パク・ボヨン(28)はありがちな撮影の裏話も生き生きと披露した。「そこのところで私が『ちょっと!』と言ったんです」。おにごっこをするかのように、パク・ボヨンは腕を高く振り上げた。「『監督さん、このままだとスンヒはイヤな女だと言われます。男の味見をするような、よくない子になりますよ。せりふのトーンをちょっと変えてみたいのですが』と言いました」。話し終えて、ぱちんと指を鳴らした。躍動感ある身振りに、座はたちまち笑いに包まれた。パク・ボヨンは止まらない。「そうでしょう? 私の言うとおりでしょう? 女性の皆さん、本当にそう思いません?」。インタビューしているのか討論しているのか分からなくなりそうだった。

 いろいろギュッと詰まっている人。パク・ボヨンは8月22日公開の映画『君の結婚式』(イ・ソックン監督)で女性主人公スンヒを演じた。高校生のウヨン(キム・ヨングァン)が生涯思いを寄せている初恋相手だ。しかし、映画の中のスンヒはただの「初恋の剥製」にとどまらない。現実と愛の間で、スンヒは常に最善の方法を探そうともがく。その孤軍奮闘がいたましく、切ない。パク・ボヨンは「スンヒは私の中のシャープで、鋭敏で、はっきりした部分を特にしっかり見せるように演じた」と語った。「恋愛というのは、結局はタイミングではないでしょうか。無鉄砲に迫るウヨンとは違い、スンヒはいろいろ悩まないといけません。そんなスンヒが観客に誤解されないようにするには、私がいつも気を付けないといけませんでした。スンヒを守ってあげたかったので」。大きな瞳が少し揺れた。

 16歳のときEBSの青少年向けドラマでデビューして以来、パク・ボヨンは明るいほほ笑みと小柄でかわいらしい姿で人気を集めた。初めてキスシーンを撮ったのも、デビューから10年たった2015年のドラマ『ああ、私の幽霊さま』に出たときだ。

 しかしパク・ボヨンは、思ったより粘り強く、頑強だ。映画『過速スキャンダル』『私のオオカミ少年』『恋するインターン~現場からは以上です!~』から独立映画『視線1318』『突然変異』まで、活動を休んだこともほとんどない。かなり野心もあり、撮影となると「自分はなぜこれしかできないのか」と思って夜も眠れず、壁に頭をぶつけるという。『君の結婚式』のスンヒを演じながら、パク・ボヨンは「一生懸命生きる主人公スンヒが痛ましくて、この子は最後には幸せになってほしいと心から思いました」と語った。「痛々しいけど凛々しく、転んでも起き上がります。恋愛も人生も、最後にはそういう人が自分の居場所を見つけていかないといけないと思いました」

 無意識に手足を動かしているようでも自然に見える、相手役キム・ヨングァンをうらやましく思うことも。「ヨングァンさんはいつも『分かりません』と言いながらうまいです(笑)。時にはそういうところがうらやましくて嫉妬しました」

 「いつも完璧に見られたいと思っているのではないか」と尋ねてみた。パク・ボヨンは小さくうなずいた。「そうだと思います。小さなころから、現場で大変な思いをしながら演技を学びました。それだけに、隙を見せないようにと拳をにぎって片足立ちで生きてきたように思います。でもそのおかげでここまで成長できたのだと思います。もっと一生懸命やりたいです」。そう言って、パク・ボヨンの大きな瞳がまた揺れた。

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