韓国で公開される映画の数が年間1600本を超え、観客1000万人を動員する作品が20本に達するほど、韓国国内で制作される映画の数も、映画館を訪れる観客の数も多い。では、映画に関する韓国初のさまざまな記録を見てみよう。

◆韓国初の映画
『義理的仇討』(1919年)

 韓国映画第1号は、1919年に制作された『義理的仇討』だ。『義理的仇討』は脚本と演出を担当したキム・ドサンが監督兼主演の作品で、当時団成社の社長だったパク・スンピルが制作し、1919年10月27日に団成社で公開された。当時、韓国では関連技術がなかったため、撮影や編集は日本人が手掛けた。そのため、一部では1924年に朝鮮人の資本により朝鮮人のスタッフだけで制作した『薔花紅蓮伝』を韓国初の映画とする見方もある。しかし1962年、映画の日制定委員会ではキム・ドサン監督の『義理的仇討』を韓国映画第1号に指定した。

◆韓国初の発声映画(トーキー)
『春香伝』(1935年)

 韓国の発声映画第1号は、1935年の『春香伝』(イ・ミョンウ監督)だ。それまでは活動弁士付きの無声映画が楽しまれていたが、このときから主人公の声で映画を鑑賞できるようになった。

◆韓国初の映画監督
キム・ドサン

 韓国の映画監督第1号は、韓国初の映画『義理的仇討』を手掛けたキム・ドサンだ。1891年(高宗28年)生まれで本名はキム・ジンハク。忠武路で生まれ、舞台俳優として活動していた。新劇座を立ち上げ活動していたとき、映画を制作したという。

◆韓国初のキスシーン
『運命の手』(1954年)

 

 保守的な韓国文化において、初めてキスシーンが描かれた映画は、1954年にハン・ヒョンモが制作・演出した『運命の手』だ。キスシーンは映画の最後のシーンに登場し、約5秒間続いた。現在とは異なり、唇が触れる程度だった。しかし、ヒロイン役のユン・インジャは当時結婚しており、夫が映画会社を相手取り告訴したことで話題となった。その後、告訴の件はうやむやになり、映画はヒットしなかった。

◆韓国初の国際映画祭出品作
『嫁入りの日』(1956年)

 韓国映画のうち国際映画祭出品作第1号は1956年に制作された『嫁入りの日』(イ・ビョンイル監督)で、第7回ベルリン国際映画祭に出品された。この作品は、劇作家であり演出家でもあるオ・ヨンジンの喜劇『孟進士宅の慶事』を映画化したもので、当時、映画後進国だった韓国で初めて、世界3大国際映画祭に出品されるという快挙を成し遂げた。ベルリン国際映画祭では受賞できなかったが、1957年に開催された第4回アジア映画祭で特別喜劇賞を受賞した。

◆韓国初の国際映画祭受賞作
『馬夫』(1961年)

 韓国映画のうち国際映画祭受賞作第1号は1961年、第11回ベルリン国際映画祭で銀熊賞特別賞を受賞したカン・デジン監督の『馬夫』だ。『馬夫』はカン・デジン監督が20代半ばで撮影した作品で、庶民の悲しみや喜び、1960年代の時代像を見事に描いたと評価されている。注目すべきは、韓国初の国際映画祭出品作である『嫁入りの日』で主人公を演じた俳優キム・スンホが『馬夫』でも主人公を熱演したという点だ。

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