スターインタビュー
インタビュー:ソン・イェジン「20代は楽しめなかった」
「20代のとき、あまり楽しんで仕事できなかったことを後悔している」
3月14日公開の映画『いま、会いにゆきます』は、ソン・イェジンの正統派ラブストーリー復帰作だ。同作は、ソン・イェジンに「国民の初恋」という肩書きを与えた映画『ラブストーリー』とも比較され、関心を集めている。ソン・イェジンは3月12日、ソウル市鍾路区昭格洞のカフェでインタビューに応じた。この席でソン・イェジンは、20代の1ページを飾った『ラブストーリー』に言及し、残念さをあらわにした。
「20代のころは仕事ばかりしていた。悲観的な性格で、自分に寛大ではなかった。毎回、後悔しない作品はなかった。自分を厳しく追い込んで、苦痛の中で何かを探し求めようとしていた。『もっとうまくやるべきなのに』と鞭打って、20代を楽しめなかったように思う」
その厳格な物差しのおかげで、こんにちのソン・イェジンがある。映画『ラブストーリー』や『私の中の消しゴム』で恋愛映画クイーンとなったソン・イェジンは、コメディー、ミステリー、アクションなどさまざまなジャンルに挑戦し、韓国映画界最高の女優になった。ソン・イェジンはワントップで物語を引っ張る力、観客を劇場に引き寄せる力を持つ、類まれな女優だ。ソン・イェジンが選んだ作品ということで、『いま、会いにゆきます』は恋愛映画が珍しい韓国映画界で注目されている。「これまで、こんな映画はなかったではないか。これなら観客が待っていてくれるのではないかと思って選んだ」
『いま、会いにゆきます』は日本の原作をリメイクしたという点で、負担も感じられるであろう作品だ。原作は、具体的なストーリーについては知らずとも、タイトルやポスターを一度くらい見たり聞いたりしたことはあるというほど有名な作品だ。韓国版は「死んだ妻が再び戻ってきて一緒に過ごす奇跡のような時間」という大枠を維持しながらも、男女の主人公の回想シーンなどエピソードに変化を付け、韓国的に脚色した。原作よりも愉快だという評価が多い。
「提案されたシナリオの中にリメイク映画が多かった。この映画もリメイクされるということでシナリオを読んだが、(シナリオは)分厚かったにもかかわらず一気に読み終えた。一段といきいきしていて、コミカルだった。新人監督ということで何も分からない状況だったが、シナリオ一つ見ただけでやりたくなった」
ソン・イェジンはいつの間にか、女優としての代表性を帯びた位置付けがなされている。30代半ばの女優にとって、そしてソン・イェジンにとって、年を取るということは、盛んに仕事をしていた20代のころとはまた別の意味を持つ。女性映画人に冷たい韓国映画界ではなおのことだ。
「男性中心の映画の中で、女優が主人公を演じるということだけで話題になると、責任感も強まる。まるで私が選手になって、リレーをしている気分とでも言おうか。自分が望む目標に到達しないといけないけれど、次のランナーが走れるように、強い責任感を抱くときがある。それでも自分一人孤軍奮闘するのではなく、大勢の女優と一緒にやっているのであって、現在起こっているいろいろな社会現象もそう。これからは少しずつよくなっていくんじゃないかと思う」
現在は、結婚について考える年齢でもある。ソン・イェジンは、かつては「30代では結婚しないと」という考えだったが、今はそうではないと言う。
「家庭を構えることへの憧れやロマンはあるけれど、まだそこまで成熟してないと思う。自分を犠牲にしながら家族のためにたくさんの時間を過ごせるかどうか分からない。年を取るほど、誰かと付き合うことも簡単ではなくなる。無理に付き合うよりは、自然な流れに任せようと思う」