スターインタビュー
インタビュー:シム・ウンギョン「演技を楽しんだのは初めて」
どれほどしっくりこない話でも、女優シム・ウンギョン(23)の手にかかると餅のように柔らかくなじむ。映画『サニー 永遠の仲間たち』で幽霊に乗り移られて白目を剥いた演技をするときも、『怪しい彼女』で体だけ20歳になってしまった70代のおばあさんを演じるときも、観客は「それらしい」と説得力を感じたものだった。
1月31日公開の映画『念力』(ヨン・サンホ監督)でシム・ウンギョンは、幼いころに家を出た父親(リュ・スンリョン)が突然、超能力を使えるようになる中、それを見守る娘を演じた。映画では、父親が指一本触れることなく建物を丸ごと動かし、空を飛びまわるシーンが続く。こんな漫画のような設定を、2018年のソウルで起こった現実のように思わせるのがシム・ウンギョンだ。化粧っ気のない顔。水で洗い清めたかのように澄んだ黒い瞳。小さな震えや怒りを、縄跳びするかのように軽妙に行き来する表情。それを見た観客は、この想像の中の物語に夢中になるだろう。1月25日にソウル市鍾路区三清洞のカフェで対面したシム・ウンギョンは「リュ・スンリョン先輩が超能力者を演じるとしたら、私はすごく平凡な人間を演じなければならなかった。毎朝テレビで生活情報番組を見ながら、一生懸命働いてお金を稼いで一日一日を生きていく普通の人の姿を、一生懸命観察した」と語った。
シム・ウンギョンは11歳のとき演技を始めた。気が小さく恥ずかしがりな娘が心配だった両親が演技スクールに通わせた。2003年にドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』(MBC)で子役として注目され、映画『サニー 永遠の仲間たち』(2011)、『王になった男』(2012)、『怪しい彼女』(2014)などに相次いで出演、いつしか「ヒット女優」と言われ始めた。
しかし、シム・ウンギョンは「振り返ってみると、そのころが私にとっては一番楽じゃない時期だった」と語る。「あまりにも突然、思いもかけない関心を一気に受けた。あちこちで人々に気付かれるようになり、インターネットには私の演技を評するコメントがどっとあふれた。負担に感じて萎縮していた。『次の作品でもし私がうまくできなかったらヒットしないんじゃないか』という悩みがのしかかってきた」
家でじっとしている日が多くなった。休んでも休んだような気がせず、眠っても眠った気がしなかった。「女優は本当に私に合っているのか」「今からでもほかの仕事を探すべきでは」とも悩んだ。そんなときに『念力』と出会った。撮影現場でリュ・スンリョンは、頭を抱えて演技のトーンについて悩むシム・ウンギョンを呼び寄せ、言った。「君の年なら悩まずにそのままぶつかっていい。もっと思い切り遊んで、もっと思い切り歩き回って、もっと思い切り動いて」。ヨン監督も言った。「ちょうど今くらいやればいい。もっとうまくやろうと悩むな」。シム・ウンギョンは「それまでは撮影を、難しい数学の問題を解くような気持ちでやっていたとすると、今回は本当に遊んでいるかのようにできた。これもプロセスなのだろうか」と尋ねた。その黒くて丸い瞳を見ながら、再びうなずいた。その通り。