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レトロな雰囲気漂う光州・ペンギン村が人気
光州市南区にはペンギンのいない「ペンギン村」がある。高齢者たちが後ろ手を組み、古びた住宅街の路地を歩く姿がペンギンに似ているとして付いた名前だ。最近、このエリアに全国から観光客が押し寄せている。昨年は30万人が訪れたものとみられる。毎月2万人以上になるという計算だ。
最近記者が訪れたペンギン村は、扇骨のようにのびた路地300メートルに沿って、全国からやって来た観光客でにぎわっていた。壁には素朴な詩や絵画が描かれており、あちこちに古びた時計、靴、器が掲げられている。古めかしい品々がそのまま作品になった。村の子どもたちや学生たちがつくったものもある。
空き地や畑には小さなテレビやラジオ、甕、いす、かご、ガスボンベ、釜、児童書など生活用品があふれている。まるで数十年にわたる生活史が一目で分かる博物館に来たようだ。思い出にひたることができる懐かしい菓子も見られる。あちこちに廃品でつくられた工芸作品が置かれている。路地を散策していたチョン・ハンソルさん(釜山外大3年)は「レトロな街で時間旅行をしている気分」と語った。一緒に写真を撮っていた友人チェ・ジウンさん(又松大3年)も「生活用品もこんなに集められているので、作品のように見える」と話した。「時間が止まってしまったあなたの夢が今始まります」「流行に流されて生きるのではなく、自分らしく生きよう」といったコピーが書かれた額も目についた。
もともとここは、西洋の宣教師たちが布教活動をしながら開化の波を巻き起こした場所だ。衰退しかけていたペンギン村に変化が生じ始めたのは2013年から。路地沿いの住宅で火事が発生し、見た目がよくなかった場所に住民たちが壁画を描き、生活用品を持ち寄り始めた。村の復興の先頭に立ったのは「村長」と呼ばれるキム・ドンギュンさん。キムさんは行き交う観光客の間で小さいテレビの箱に赤いペンキを塗っていた。キムさんは「始めたときはこんなに人が集まるとは思わなかった。都会の中のレトロな村に人々があふれ、本当にうれしい」と語った。光州市南区庁はペンギン村を保存し、工芸特化通りとして整備することにした。