▲アイドルグループ「WekiMeki」のキム・ドヨンさん/写真=NEWSIS

 23日、ソウル・汝矣島にある大学修学能力試験(修能試験=日本のセンター試験に相当)の試験会場前に、女性アイドルグループ「WekiMeki」のメンバーで受験生のキム・ドヨンさんが現れると、望遠レンズ付きの高性能カメラを持った数十人が取り囲んでシャッターを切った。キム・ドヨンさんはこの日、この会場で修能試験に臨んだ。カメラを持った人々の多くは記者やファンでなく、芸能人のプライベートな写真を撮ってインターネット上で販売する人々だ。ファンの代わりに芸能人の写真を撮るという意味から「代理チクサ」と呼ばれる。「チクサ」とは「写真を撮る」という意味の韓国語の省略だ。

 修能試験日は芸能人の「代理チクサ」たちにとって書き入れ時だ。飾らない普段の芸能人の姿が撮れるからだ。代理チクサのチェさん(26)は「試験を受ける時は芸能人もメガネをかけて普段着で来る。こうした写真はコンサートやファンミーティング時に撮影したものよりも高い値段で売れる」と言った。

 芸能人の写真を撮って販売する行為は3-4年前から増えてきた。一部ファンが芸能人を追いかけて撮った写真がネット上で人気を呼ぶと、「金を払うから写真を撮ってほしい」というファンが現れ始めた。こうした写真はほかのファンたちと共有したり、個人で所蔵したりする。

 代理チクサたちはツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて「特定の芸能人の写真を撮ってあげる」と広告を出す。1カ所で連続してシャッターを切って撮影した数百枚の写真ファイルを通常3万-20万ウォン(約3000-2万円)で販売する。ステージ裏や飲食店などプライベートを撮影した写真であるほど値段が高い。ツイッターで男性アイドル歌手の写真を販売している代理チクサに価格を問い合わせたところ、「車から降りて試験会場に入るまでの姿を撮影した写真400枚入りの画像ファイルが4万ウォン(約4000円)」と言った。彼はこの日、15人から注文を受け、約70万ウォン(約7万円)の収入を得た。

 芸能人の写真を無断で撮影・販売する行為は肖像権侵害に当たる。しかし、実際に処罰されるケースはほとんどない。大量に販売するのではなく、注文した人にだけ販売するからだ。ある芸能事務所関係者は「こうした写真が芸能人の宣伝に役立つこともあるので、法的措置を取るケースは珍しい」と言った。

 だが、「試験会場に群がる代理チクサはほかの受験生たちに被害を与えている」という指摘もある。浪人生の娘を持つファンさん(51)は「試験会場の前にカメラを持った人が集まってウロウロしているので、娘は顔が写ってしまうのではと心配して避けて通っていた」と話す。ある芸能事務所関係者は「試験会場に入ってまでカメラを意識しなければならないという苦労も芸能人たちにはある」と語った。

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