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気楽さが人気! 店主も従業員もいないカフェ
会社員のヤン・ハンソルさん(35)は少し前、友人とともに江原道襄陽郡の「KOH GARAGE」を訪れた。店主も従業員もいない無人カフェだ。ヤンさんはカードで2000ウォン(約200円)の支払いを済ませ、カフェに設置された家庭用コーヒーメーカーでコーヒーを入れて飲んだ。ヤンさんは「長時間いても気をつかわなくていいのでよかった」と語った。
従業員が常駐していない無人カフェが最近、若者たちの間で人気となっている。まだ全国に20カ所ほどしかないが、独特な魅力にひかれ、20代の若者たちがよく訪れている。無人カフェでは、客が自らマシンを使ってコーヒーなどを入れて飲む。店内のキッチンで簡単なスナックを提供しているところもある。セルフ式ガソリンスタンドのように、コーヒーのマシンに決済機能が付いている場合もあるし、決済用の端末機が別途設置されているケースもある。
人件費が節約できる分、ドリンク代が安いのが、無人カフェの最大の強みだ。ソウル市瑞草区瑞草洞の「タッチカフェ」には、タッチスクリーンを利用し、注文・決済をする自動販売機が3台設置されている。エスプレッソ、カプチーノ、ミルクティーなど、一般的な自動販売機に比べてメニューが豊富だ。1杯の値段は1500-2300ウォン(約150-230円)。1杯4000-5000ウォン(約400-500円)する一般的なカフェの半分ほどだ。キム・ナギョンさん(28)は「一日数杯飲んでいるコーヒー代が負担だったけれど、(無人カフェは)値段がだいぶ安いのでよく利用している」と語った。
店主の立場からしても、従業員を雇ったり、自分が店にいなくてもいいという利点がある。一日に1回立ち寄り、ドリンクやスナックの在庫を確認さえすればよい。利用客がきちんと料金を支払わなかったり、備品が壊されるケースはないのだろうか。「KOH GARAGE」のイ・ドゥハン代表(33)は「ドリンクを1杯飲んだだけでコップを5、6個持っていく人もたまにいるが、市民意識を持った人がほとんどなので、経営に大きな問題はない」と話している。
他人との接触が苦手なスマートフォン世代が無人カフェに心ひかれているという分析もある。従業員を気にする必要がなく、店主と話をしたり、自分の邪魔をされるのが好きではない人たちが無人カフェを訪れているというわけだ。ソウル大学消費者学科のチョン・ミヨン教授は「無人カフェの増加は、企業と顧客の関係が築かれ親密になるのを負担に感じている人が増えたことを受け、生じた現象だと思われる。コストパフォーマンスにこだわる人が増え、また一方で無人技術が発達したのに伴い、無人サービスを提供する市場はよりいっそう拡大するものとみられる」と語った。