ここに、止められない二人の若者がいる。科学高校を出たのに、「友だちがみんな行くKAIST(韓国科学技術院)ではなく、特別なところを探して」警察大学に入学した「ヒヨル」(カン・ハヌル)と、「家の事情があるから学費無料の大学を探して」警察大学に入った「ギジュン」(パク・ソジュン)。仲良くなった二人は、週末の外出で、たまたま女性の誘拐事件を目撃した。寸秒を争う状況だが、通報手続きは複雑で証拠は足りず、捜査は足踏み。二人は前後をわきまえず、犯罪の現場に飛び込んで方々とぶつかる。8月9日に封切りされる映画『青年警察』(キム・ジュファン監督)は、『ダンケルク』『軍艦島』『タクシー運転手』と続く夏の大作シーズンの「ラストバッター」だ。競合作に比べてスケールは小さいが、軽視はできないアクションコメディ。この映画、熱くてスピーディー、愉快で善良だ。


■熱い!

 はっきりくっきりしている青年コンビは、この映画の最も強力な武器。カン・ハヌル演じる「ヒヨル」は理論に強く、頭脳が先行するタイプだ。一方パク・ソジュン演じる「ギジュン」は、体がまず反応する性格だ。1990年代の韓国映画ルネサンス期に登場した『TWO COPS』(1993)や、『NOWHERE 情け容赦無し』(1999)といった刑事バディ(buddy)映画を思い浮かべるほど、キャラクターの力強さが感じられる。二人が力を合わせて相乗作用を起こし、映画は快速疾走し始める。

■スピーディー!

 息つく間もなく走り、跳び、転がり、殴り合う。犯人の本拠地に乗り込み、市場の通りにある荷車、ほうき、ハンマーや棒などを振り回して格闘を繰り広げるシーンの呼吸が特にいい。きちんとしたカメラワークのおかげで映像は陳腐ではなく、アクションの打撃感も生きている。スピード感ある編集は、設定やストーリーの弱点をうまく隠してくれる。追撃と格闘は軽快に切り貼りされ、残酷な犯罪現場などはそっと隅へ押しのけている。そのリズム感が観客を引き込む。

■愉快!

 終始ユーモアを失わない。カン・ハヌルとパク・ソジュンは、売春紛いの業者に潜入捜査する人間を決めるためじゃんけんをするという、些細な場面ですら爆笑を生んだ。命が危なくなった瞬間も、スラップスティックコメディをやっているかのように身を投げ出し、スクリーンに一杯の笑いをぶちまける。キム・ジュファン監督は「台本よりもうまくできたシーンが多かった。編集しながら映画を見直して、この部分は自分が作ったのか二人の俳優が作ったのか、見分けがつかなくなるほどだった」と語った。

■そして善良

 職業倫理や召命意識に関して、いわば、教えようとするのではなく体で示す善き映画だ。悪党につかまり、ようやく逃げ出して派出所にやってきた二人。「誘拐された人を助けるため出動すべき」と警察官に催促してみるが、当直の警察官は「写真付きの身分証を呈示せよ」と言って微動だにしない。「警察官は市民が必要とするときに、真っ先に応える人」と、耳にたこができるほど聞かされてきたが、当の組織に適応し、官僚化した既成世代は、規則と手続きを優先する。警察だけではない。映画は、観客が忘れてしまっていたかもしれない「溶鉱炉のように熱かった若いころ」を呼び覚ます。ただし、人種主義的に見えるほど朝鮮族の悪党を残忍無道に描いている点は終始気まずかった。エンディングクレジットが全部終わるまで待っていると、最後にもう一度笑える。上映時間109分、15歳以上鑑賞可。

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