【ソウル聯合ニュース】韓国と日本の両国で活動するデビュー44年目の演歌歌手、キム・ヨンジャ(58)が新たな全盛期を迎えている。

 1974年に韓国でデビュー、87年に活動の舞台を日本に移し、20年余り「演歌の女王」として人気を誇った。

 2009年に韓国での活動を再開したものの過去の名声を取り戻せずにいたが、13年にリリースした曲「アモール・ファティ(運命の愛、の意)」が4年を経た今年になって若者層から反響を呼び、バラエティー番組からの出演オファーが殺到した。今月にはMBCの音楽バラエティー番組「覆面歌王」に出演し、ベテラン歌手としての貫録を見せつけた。

 忙しいスケジュールの合間を縫って聯合ニュースの電話インタビューに応じたキム・ヨンジャは、「第2の全盛期が訪れたみたい。『人生は今だ』という『アモール・ファティ』の歌詞みたいに」と弾んだ声で語った。

 覆面をかぶり、歌声だけで勝負する「覆面歌王」への出演は悩んだが、周りが勇気をくれたという。「予想外にいい評価をもらえ、感激してまた泣いた」と言って笑う。

 数日前にはKBS第2のバラエティー番組「ハッピー・トゥゲザー」の収録を終えた。バラエティー番組に引っ張りだこなのは「アモール・ファティ」の人気のおかげだと語る。

 ユン・イルサンが作曲した「アモール・ファティ」は、エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)とトロット(韓国の演歌)を組み合わせたノリのいい曲だ。

 この曲が突如注目を集めた理由を聞くと、ユン・イルサンら周囲の人から「(人気男性グループの)EXO(エクソ)ファンのおかげだと聞いた」という答えが返ってきた。「ある音楽番組でEXOの次に私がこの曲を歌ったんですが、その時客席にいたEXOのファンたちがSNS(交流サイト)で口コミを広げてくれたそうです。歌詞が最近の若者たちのテーマになっている『YOLO(You Only Live Once=人生は一度きり)』とよくマッチしていて、サウンドも若者が好むEDMだったためみたい。それを聞いてEXOのKAI(カイ)に尋ねたら、知らなかったって(笑)」

 ユン・イルサンからEDMを提案された時は、中高年のファンが息切れして歌えないのではないかと心配したというが、「大人向けの歌で終わるものと思っていた曲の真価を若者が発見してくれるとは」と、意外な層からの反響を喜んだ。

 再び注目を浴びるまでの苦労も打ち明けた。01年、02年の2度にわたり北朝鮮の平壌で公演するほど歌声には定評があり、韓国で活動を再開した時は過去の人気をすぐに取り戻せるという自信があった。だが、長年のブランクのため今の若者は自分を知らず、歌謡界のシステムも大きく変わっていた。その時は、自分が「異邦人のように思えた」という。

 韓国での忙しいスケジュールをこなしつつ、日本での活動も並行する。日本で今月リリースしたシングル「赤い涙」がオリコンの演歌・歌謡ランキングで2週連続2位になったといい、番組出演のため19日に日本へ向かうと語った。

 先月には、バラエティー番組で「恋愛は必須、結婚は選択」という「アモール・ファティ」の歌詞のように、年上の男性と交際して4年になることを明かした。相手について「頼りになる人」と正直に語る一方、「相手のことを考えると今はまだ公表する時ではないので、理解してほしい」と求めた。

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