リード曲は七つのアルバムチャートで1位、少女時代はトップ10入りも困難
テレビ局を持つCJ E&Mがプロデュース、忠誠度の高いファン層も人気の一因

 デジタルアルバムチャートで片や44位、片や1位(8月8日付Melonチャート、午後6時現在)。公演の集客数は片や3000人、片や2万人。これは、デビュー10周年を迎えたガールズグループ少女時代とデビュー2日目のボーイズグループWanna Oneが8月8日に受け取った成績表だ。少女時代は8月5日にデビュー10周年を迎え、6枚目のフルアルバムを発売したが、リード曲「Holiday」は韓国国内の七つのデジタルアルバムチャートでトップ10入りするのも困難な状況だ。公演仕立てのデビュー10周年記念ファンミーティングも、ソウル・オリンピック公園にある3000席のオリンピックホールで開催。その二日後の8月7日に正式デビューしたWanna Oneのリード曲「Energetic」は、七つのアルバムチャートで首位をさらった。同じく8月7日にソウル・高尺ドームで開催したデビューコンサートでは、2万席がぎっしり埋まった。K-POPを代表するスターの少女時代が、はるかに後輩のアイドルに押されている格好だ。

■ファン層がしっかりしているボーイズグループが優勢

 「きょう午後6時総攻です。みんな準備してください」。Wanna Oneのファンカフェ(ファンたちが運営するサイト)などでは、7日午前からこんな告知が出回った。午後6時にデビューアルバムが各デジタルアルバムサイトで公開され次第1位にするため、ファンが組織的に行動するということだ。総攻とは総攻撃の略で、自分が応援するアイドルの曲をアルバムチャートのトップに押し上げるため、複数のアカウントを動員して楽曲をストリーミングしたり、検索ワードを大量に入力してリアルタイム検索順位を上げたりすることを指す隠語だ。

 ファンの努力のおかげで、Wanna Oneのアルバムは登場するなり七つのチャートで首位を達成したのはもちろん、Melonチャートではアルバムに収録された4曲が全て10位内に入った。1位を取ったリード曲「Energetic」は、わずか1時間でおよそ9万8000人(Melon基準)が聴いた。Melonの関係者は「ガールズグループに比べ、ボーイズグループのファン層は忠誠度がはるかに高いので、アルバム発売後の序盤の『火力戦』では、少女時代といえどもデビューしたてのWanna Oneに押されるほかない」と語った。

■誰が「プラットホーム」を握るか

 Wanna Oneの成功はファンのおかげだけではない。Wanna Oneは、テレビ局を運営している大企業CJ E&Mがプロデュースに関与している。デビュー前は、系列会社のケーブルチャンネルMnetのオーディション番組『プロデュース101』で話題を作った。またデビューと同時に、Wanna Oneを主人公にしたリアリティー番組の制作はもちろん、ドラマ『寂しくて光り輝く神-鬼』(tvN)のオリジナルサウンドトラックを手掛けた監督を呼び、アルバム制作を支援した。こうしたことは、テレビやアルバム関連事業などコンテンツの流通チャンネルを持っているから可能だった。

 これに対し、韓国アイドル市場の伝統的な強者だった大手プロダクションは苦戦が続いている。BIGBANGの後、YGエンターテインメントを代表するボーイズグループWINNERが出した新曲は、Wanna Oneだけでなく、ケーブルチャンネルMnetのHIPHOPオーディション番組『SHOW ME THE MONEY』出演者の曲にも押され、10位に後退した。EXOも同じく『SHOW ME THE MONEY』に押されている。今、韓国歌謡界では「上に行きたければSMやYGよりもCJに入れ」という声が聞かれる。プロダクションがコンテンツを作ってテレビが流通プラットホームを提供していた分業構造も、「コンテンツ制作+プラットフォーム」の統合構造へと変化する傾向が見られる。SMエンターテインメントがほかのプロダクションとの協業を通じてバラエティー番組を作り、YGがプロデューサーを迎え入れて番組制作に参入するのも、同じ流れに属する。ある大手プロダクションの関係者は「既にSMやYGはテレビ局のように進化しつつある。歌謡界でも、じきに『誰がプラットホームを握るか』の競争がいっそう激しくなるだろう」と語った。

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