映画
『軍艦島』リュ・スンワン監督「歴史を伝えることが第一の目的ではない」
リュ・スンワン監督が、軍艦島の歴史を伝えるために映画『軍艦島』を作ったのではない、と語った。
リュ・スンワン監督は19日午後、ソウルの映画館「CGV竜山」で開かれた『軍艦島』記者懇談会に出席し、このような発言を行った。この席でリュ・スンワン監督は「軍艦島の歴史を伝えるためにこの映画を作ったと、誤って伝えられているようだ」と語った。
『軍艦島』は、戦時中の1945年、軍艦島と呼ばれた長崎県端島の炭鉱に強制徴用された朝鮮人たちの脱出を描いた映画。封切りを前に、ニューヨークのマンハッタンにある電光掲示板に軍艦島の歴史を伝える広告を出すなど、隠された事実を伝える活動の先頭に立っている。
これについてリュ・スンワン監督は「軍艦島の歴史を伝えることが目的の一つではあったが、第一の理由ではない。軍艦島のイメージを見て、そこで展開しそうな事件に刺激を受けて映画を作った」と語り、次いで「歴史を伝えるべき義務と責務は、作業の過程で生じたもの」と付け加えた。
リュ・スンワン監督は「『軍艦島』には、悪い朝鮮人も大勢登場する。朝鮮人をそのように描写した方が、はるかに自然だと思った」と語り、「実際もそうだった。軍艦島の資料を見れば、悪い日本人だけがいたわけでもなく、いい朝鮮人だけがいたわけでもなかった」と説明した。
リュ・スンワン監督は「それで、国籍が問題なのではなく、個人にもっと焦点を合わせる方が重要だと思った。こういう時代背景、素材を取り扱うときに、善き朝鮮人、悪しき日本人というのはあまりに安易な二分法だと思った」「そうやって観客を刺激するやり方は、むしろゆがみやすいスタイルだと思った」と語った。
さらにリュ・スンワン監督は「現在、軍艦島がユネスコの文化遺産に登録されていることをめぐっても、韓国内部に目を向けてみれば、批判の矢はその当時の韓国外交当局にも及ぶと思う」「植民地時代に、帝国主義に全ての悪をかぶせるのではなく、過去を通して今をどう見て、未来にどう備えるべきか、そういう考えを持って(映画を)作った」と付言した。
『軍艦島』は7月26日公開。